21-3
文字数 1,143文字
思考に耽り、注意がおろそかになっていたカノンは、前方の人影にぶつかった。
ぶつかった衝撃で相手の方が体格が上だと判断し、やってしまったと思いながら相手へ向き直る。
謝罪に刺のある言葉で返され、カノンは面倒そうな手合いとぶつかってしまったと内心でため息をつきながら、穏便に事を進めるために相手の姿を冷静に観察する。
こちらが相手を観察している時は、
相手もこちらを観察しているものである。
カノンは自身が好奇の視線に晒されていることを肌で感じとると、距離をとろうと半歩足を引いた。
相手もこちらを観察しているものである。
カノンは自身が好奇の視線に晒されていることを肌で感じとると、距離をとろうと半歩足を引いた。
相手が手を出してくるのを、カノンは予測していた。
しかし、振り払いながら相手の顔面めがけて放った徒手は、すんでのところで、相手の拳によって止められていた。
しかし、振り払いながら相手の顔面めがけて放った徒手は、すんでのところで、相手の拳によって止められていた。
何の話だとカノンが首をかしげていると、青年はにんまりと口角を上げた。
カノンが絶句しているのをいいことに、
青年は自由な右手でカノンの顎へ手を添え、唇をなぞった。
青年は自由な右手でカノンの顎へ手を添え、唇をなぞった。
指を噛まれ、驚いて手を離してこちらを睨み付ける赤髪の青年を尻目に、カノンは地へ一つ唾を吐いて唇を拭った。
不機嫌そうな表情から一変して、
不敵に笑みを浮かべると、
真っ直ぐにカノンへと指差した。
不敵に笑みを浮かべると、
真っ直ぐにカノンへと指差した。
売り言葉に買い言葉で文句を返すと、
カノンは今度こそ、仲間の待つ入り口へと戻っていった。