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文字数 1,266文字
<闘技場 観客席>
イーリアスの隣の席に腰かけると、
暫し相手の様子を伺ってから
カノンは口を開いた。
おもむろに懐から小瓶を取り出して、
肩透かしをくらったカノンへ
イーリアスはそれを掲げて見せる。
容器の中には、桃色がかった赤の液体が容器いっぱいに入っていた。
懸念事項が一つ無くなり、安堵から胸をなでおろす。
程なくして、会場へどこからともなく女の声が響き渡り始めた。
『レディース&ジェントルメーン!
皆様大変お待たせいたしました!!』
『ついに始まりますよ、
第42回闘技大会inサベイク!!
栄えある第一試合の闘士4名の入場でーす!』
アナウンスを受けて、
周囲がどっと色めきだつ。
下方に位置するステージへと
視線を向けると、出場者の4人が姿を現していた。
『爽やかなマスクで登場したのは
ディーン・オークウッド選手!
勝利を確信しているのでしょうか、
余裕の笑顔を見せています!』
『そして対するは……あーっと、
こちらの3人は、
本物のマスクを装着しての登場です!』
『それでは早速参りましょう!
第一試合……、開始です!!』
そんなカノンたちの心配は他所に、
司会の言葉によって戦いの火蓋は切って落とされた。