6-1

文字数 572文字

<騒がしい酒場の 端の席にて>
…………。
えーと、
特に異論が無いなら
今の作戦でいくけど……。
いやいや、異論が無いかって……
ありまくりなんだけど?!
思わず椅子から立ち上がり、セシルはテーブルを揺らしたが、
周りの視線を集めていることに気づいて我に返ると、
大きくため息をつきながら、また椅子へ腰掛けた。
……でも、相手の不意をつくなら
これが一番ではある。できればの話だけどな
それで、協力する?それとも降りる?
乗り気じゃないのに、
セシルを巻き込むわけにはいかないわ。
心配性だなー、協力するって。
一度受けた仕事は降りねーよ。
オレはただ、この魔石を投げればいいだけだしな。
そういいながら、右手でじゃらじゃらと
赤と黄の宝石を鳴らして見せた。
……よかった。
ありがとうセシル。
…………。
……なぁ、一つ聞いていいか?
何?
わざわざ魔術師にケンカ売って、
純正の魔石まで用意して、オレを雇って……
そこまでしてまで、助ける価値のある奴なのか?
その、誘拐された魔術師ってヤツはさ。
その言葉、
セシルにも返してあげようか?
……そっか。
流石になんかうまみがあるからだよな。
そりゃそうだよな……。
まぁ、そんなところよ。
……さて、腹ごしらえも終えたし、
早いとこ出ましょう。
りょーかい!
…………。
(そうは言ってもなぁ……)
(捨て身の特攻みたいなこと、
そう簡単に決められるかね、フツー……。)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

<カノン>


合理主義だがお人好しという なんとも損な性格をした剣士。
世の中諦めなければ 大体のことはなんとかなると思っている。

<イーリアス>


自身にかかっている呪いを解除する方法を求めて 放浪する暗殺者。
同時に、冷静沈着な魔術師で、周りに冷たい印象を与える。

<ニルス>


気が小さいが確かな腕を持つ魔巧師。
片付けが苦手だが、物の所在は全て把握している。

<セシル>


手先が器用なお調子者のトレジャーハンター。
アーティファクトや魔巧具の真贋を見抜く観察眼を持つ。

<フィラマリカ=D=リーン>

精霊のスクオーラのボス。
たおやかだが、何かと暴走しがち。

<パシュア>


腹の読めない隻眼の青年。
フィリカの世話役。

<ディーン>


人当たりがよく誠実な好青年。でもなぜか地味で目立たない。
女性を見たら話しかけずにはいられない性質の自称紳士。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色