4-3
文字数 1,167文字
少年と入れ替わるようにして、
背後から足音が近づいてきた。
大体の察しはついていたが、
カノンはイーリアスの言葉を待った。
俺はもともと、あんたを殺すつもりで接触したわけだが、
あんたはこうして健在だ。
これは…依頼人の意向に沿わない結果だ。
そう遠くないうちに……この事実は
向こう側に知れ渡り、俺の首には
賞金がかかるようになるだろうな。
元々命を狙われるような立場だったとはいえ、
厄介なものに目をつけられてしまったものだ。
心底カノンは己の不運を呪った。
邪魔をした、と一言もらして、
イーリアスは路地奥へと立ち去っていった。
相手の人格を決めつけるには、
まだお互いの事を知らなすぎる。
歩み寄れる余地がある可能性を
知ることができたカノンは、
ほんの少しとはいえ、胸が軽くなるようだった。
他の魔術師との小競り合いで生じたものか、
はたまたそれ以外の原因か…………
同時に疑問を生みながらも、
カノンは調査へと戻っていった。