18-1
文字数 644文字
組み合った状態で、襲い掛かってきた
相手の眼を見据える。
そこには普段の静謐をたたえた琥珀色の瞳はなく、
血を連想させる紅の瞳が、ギラギラとカノンを見返していた。
アーティファクトの羽衣を顕現させ、
発動時の風でイーリアスを引きはがそうとする。
しかし相手は、自らあっけなく
カノンから離れて間合いをとった。
風の刃で切れた左頬から流れる血を、
雑に拭って口を開く。
イーリアスが腕を真一文字に空を斬ると、
延長線上にあった鉄格子がばらばらと音を立てて崩れていく。
そうしてカノンへ一瞥もくれず、
牢から出て外へ向かって駆けていった。