0-4
文字数 1,467文字
<ライザー邸 応接室>
長机に並べられた茶器を
各々手に取り、中身の茶を味わう。
花園を想起させる甘やかな香りを楽しむ中、
男はじっと眉を潜めて口を開いた。
ばつが悪そうに出ていくレイモンドを見送ると、
ネイトは再びカノンへと視線を戻す。
ネイトは再びカノンへと視線を戻す。
手に持っていたティーカップを
テーブルに置こうとしたが、
力がうまく伝達できず、カップを取り落とす。
上体を支えられないまま、
ユーリはテーブルに突っ伏した。
首から下げた、柘榴のように深い赤色の
宝石のペンダントを手で弄びながら、
ネイトはカノンへ笑みを浮かべる。
……ふふっ、
激昂したネイトの感情に呼応するように、
カノンとユーリの二人を囲んで炎が現れる。
カノンとユーリの二人を囲んで炎が現れる。
炎は燃え盛り、ごうごうと音と立てて
勢いを増していく。
ユーリはかつて偵察に向かった3人が、
順々に目の前で火だるまになっていく
光景を脳裏に蘇らせていた。
天井を焦がすほどの炎が、
横で動けなくなっていたユーリごと、
カノンへと躍りかかる。
同時にそれは爆発を生み、
衝撃は窓のガラスを粉々に砕いていった。