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文字数 681文字
<クルミ通り脇の路地>
路地にかかったアーチから出かかったところで
殺気を感じ取ったカノンは足を止める。
すると、鼻先でぶんとにぶい風切り音が、
頭上から地へと降りていった。
すかさず地面を蹴って間合いをとり、
襲撃してきた正体を
夕闇から探ろうと目を凝らすが――――
襲撃者は、人の背丈ほどある大鎌を携えていた。
すっくと立ち上がり、様子を窺っている。
何もしないまま相手の言い成りになるなど、
ありえない事だ。
対抗しようと剣を抜きにかかったが――
こちらが抜くよりも早く、
相手はカノンの首元にナイフを突きつけていた。
猶予は長くないといわんばかりに、
刃を首筋に立てる。
一筋についた傷口から、血が流れていった。
契約をする。そうカノンは言ったはずだった。
"生きていればなんとかなる。"
それが彼女のモットーだったからである。
しかし、意思を伝えようと口を開いた途端、意識が混濁し始めたのだった。
何か言葉のやり取りをしたような気がするが、
しなかったような気もする。
自分は生きているのか、それとも死んだのか。
カノンの意識は、
そのまま闇の中へと落ちていった――――