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文字数 738文字
各々意識が覚醒し、
恐る恐る目を開けると、
落とし穴が塞がれ、
元いた"何もない遺跡"の広間が
カノン達の視界に映っていた。
外を見るべく遺跡の出口付近へ
立っていたセシルが、
右腕を抑えながら半歩後退した。
不審に思い、カノンは
セシルを注視すると、
抑えた腕からは血が流れていた。
剣の柄に手をかけながら
セシルの下へ駆けつけ、
庇う様に入口側へ立ち、外を見やる。
鋭く気を張り巡らせるカノンとは
対照的に、外は雨音をこぼすばかりだった。
何時の間にか入口側の
壁に寄りかかるように座していた、
セシルの震える声と身震いを見てとると、
一つの事実がカノンの脳裏に浮かび、
肝を冷やした。
カノンがセシルの毒を吸い出そうと
身を屈めると、彼はゆっくりと
制止するように右手をあげた。
小さく頷いたセシルをよそに、
もともと彼のの左腕に巻かれていた
包帯を解くと、手早く傷口の上部に
きつく縛り、カノンは再び立ち上がった。