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文字数 869文字
イーリアスの行く手へ、剣戟が閃く。
咄嗟に顕現させた鎌で
それをいなし、相手と距離をとった。
不愉快だとでも言うように、
カノンへ向かって、
右腕を振って空を切る。
カノンの頬に一文字の血が浮かんだが、
本人は構う様子もなく、
イーリアスを見据え、
変わらず笑みをたたえたまま口を開いた。
追い風を纏い、正面から間合いをつめた
カノンの剣の切っ先が、
地から天へ弧を描き、
イーリアスの目の先へ掠める。
仰け反るようにして攻撃を躱した
イーリアスは、その一瞬、
視界が天を捉えた。
彼は”それ”を、
他人事のように眺めていた。
空が、殻のようにヒビ割れ、
次々と亀裂が走っていくのを。
そして、
空が砕けた――――