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文字数 1,507文字
雨粒を受けながら、
目的の碑石の前に立つ。
そしてかつての日々を
思い出すようにそっと石へ手を触れた。
(エルドと、にーちゃんと……
一緒に遊んでたときは楽しかったな。
エルドはおれたちにも
優しかったし、薬草のこととか、
色んなことを教えてくれて……、
にーちゃんも、今みたいに
怖くなくて、優しくて………)
先ほどまでの親しげな
雰囲気とはうってかわる、
相手の纏う空気の変化に
気づいた少年は、思わず後ずさる。
いつの間にか距離を詰められ、
互いの眼が間近に合い、エンは硬直する。
こちらを射抜かんとした鋭い視線に
すっかりすくみあがっていた。
セシルはエンの肩から手を離すと、
茂みから出てきたディーンへ
怪訝そうに口を開いた。