16-4
文字数 679文字
<とある家屋、玄関先にて>
この状態の相手に何を問いかけても無駄だ。
賢明な判断を下した少年は、
渋々 目的の場所へ向かって走っていった。
<そばかすのある青年>
フランツ!
<そばかすのある青年>
いや、それが……
捕まえたはずのガキが、
いつの間にか姿を消してて……
<そばかすのある青年>
あ、あぁ。わかった。
指示を受けた青年は、
咎めがなかったことに安堵しながら、
その場を後にした。
許しを請うように、
首からさげた縦長の石の
ペンダントを握りしめる。
石はただ、無機質な温度を青年の掌へ伝えていた。