12.アオイの進学問題
文字数 1,835文字
普段なら、幸田を避けて自分の部屋に直行するアオイが、ダイニングに入り、幸田の斜め前に腰をおろす。
だから、今も、人目につきにくいーーって、こういう言い方しちゃうと、仲間に悪いんだけどーーフリースクールに通ってるんじゃない。
私が卒業した経済学部も、近々、入試に数学を取り入れるそうだ。
話がそれた。元に戻そう。
アオイの頭と国語、英語、数学の基礎力があれば、興味の分野についてネットで大学の講義を受けるだけで、相当なレベルに行けると思う。
君のふだんの言葉づかいで説明してあげよう。
「細かいことはわかんないけど、この話って、つまりは、こういう事じゃん」
という感じで、勘どころにすぐ気付くと言う意味だ。
直観に優れている。ただし、細かいところは見えていない。見えないのではなくて、元々、見る気がないのかもしれない。
そういう君だから、大学という場に身を置いて、興味がないことや役に立ちそうにないことまで勉強させられることに意味があると、私は思う。
一度忘れてしまってもいいんだ。卒業してから、思いがけない時にヒントになることがある。自分の興味の外の世界があることを知るだけでも、意味がある。
ただ、君が大学に行きたいのであれば、私は行かせてあげたい。
でも、こればかりは、私の一存では決められないんだ。相談しなければならない人がいる。