18. ニセ救急車
文字数 1,577文字
オチビちゃん達が騒ぎ出す。
ストレッチャーを持った救命隊員が2人、備品庫に入ってきて、ミツキをストレッチャーに担ぎ上げる。
アオイが救命隊員たちに続いて救急車に乗り込もうとする。救命隊員の一人が両手を広げてアオイをさえぎる。
この子は、私の代理です。生徒が救急搬送されるときは、スクール長の私が付き添うルールです。ただ、今は、教師が私一人なので、他の子たちの面倒を見なければなりません。だから、私の代わりに、この子に行ってもらいます。
救命隊員はミツキを載せたストレッチャーの横に立っているだけで、何もしようとしない。
アオイはストレッチャーに飛び乗り、2人の救命隊員に同時に手を振れ接触放電した。2人が気絶する。
アオイが倒れた救急隊員の上着をめくると、腰に小型の拳銃を納めたホルスターを装着していた。
アオイはスマホでホルスターの写真を撮り、それから銃を抜き取り、弾倉を抜いてからストレッチャーの下に隠す。
アオイは、ドライバーに拳銃を向けた。
分かった、ちゃんと決められた病院に連れて行くから、変な気は起こすな。
都会の中に、こんもりとした森が現れ、救急車は森の奥に通じる小道に入る。
樹々の間から一般的な小学校か中学校程度の大きさの建物が見える。
建物には「医療法人 大島病院」という看板がかかっている。
ここで、止めな。お仲間は地域の拠点病院に行くと言った。拠点病院ってのは、公立のでかいやつだろう。これは私立の中規模の病院じゃないか。
ウソつきで拳銃まで持ってるとは、たいした救命隊員だね。
(右手で銃を向けながら、左手でドライバーの肩に触れる)あんたも、眠ってな。
上着をめくって、腰に拳銃を納めたホルスターをつけている姿をスマホで撮影した。
運転席から幸田が降りてくる。
アオイも救急車から降りる。