39. カレン 対 武器商人
文字数 1,997文字
山中で襲ってきた連中と同じ黒ずくめの衣装で軽機関銃を脇に抱えた男が二人入ってくる。その後ろから、ビジネススーツ姿の若い女性が入ってきて、カレンを縛っている紐をほどいた。女性がカレンの耳元でささやく。
入れ替わりに、初老の男性が入ってくる。
男が部屋の隅から折りたたみイスを運んできて、カレンの前に据え、腰を下ろす。
勘違いその一。私は大勢の男性から親切にしてもらってきた。でも、私が頼んだのではない。みなさんが進んでしてくださったの。お断りしては、失礼だわ。
勘違いその二。国防総省特殊兵器局は美貌だけでのし上がれるような甘い所ではない。私の今の地位は、99パーセント、私の兵器開発者としての実力で勝ち取ったもの。
たとえ殺されても、武器商人のために人間兵器を作ることは、ない。
君は、人間には、みなボタンがついていることを知っているかね? そのボタンを押されると相手の言いなりになるしかなくなる、そんなボタンだ。