61. 偽 装
文字数 1,351文字
アオイさん、博士は、私たちの中で一番頭がキレます。博士に任せましょう。
二人とも、コンソールにへばりつくように、横になって・・・・・・そう、それでいいわ。今、死体をかぶせるから、じっとしてなさい。
慧子は、死体を引きずってきて、アオイとミツキの上にかぶせる。
一体だけでなく、二体を不自然にならないよう重ねて、少女達の身体が完全に見えないようにする。
慧子は拳銃を自分の太ももに向けた。動脈を避けて狙いをつけ、引き金を引く。乾いた銃声が室内に響いた。
慧子、監視カメラ操作盤の前に移動し、マイクを手に取る。
慧子は脚から血を流しながらコンソール上のマイクを取り、スイッチを入れた。
エージェント・マスムラ、レノックスです。
今、扉を開けます。この部屋には、もう私しかいません。
慧子は扉をあけ、両手を上げる。しかし、追跡部隊はすぐには入ってこない。まず4人だけが廊下から援護を受けながら偵察に入ってきて、部屋の四方に散らばった。
室内に死体か行動不能な負傷者しかいないのを確かめ、廊下にいる仲間を呼ぶ。
マスムラが慧子に近づいてきた。
この部屋で乱戦になり、私は撃たれ、アオイとミツキは麻酔銃で眠らされて連れ去られた。
私は、クルマで私を護送してきた連中を予定どおり麻酔ガスで眠らせて病院に突入した。しかし、見舞い客に化けて1階に潜んでいたリケルメの部下に捕まって、ここに連れてこられた。
それは、無様だな。で、ブラックマン博士とは会ったのか?
いいえ。ブラックマン博士は、リケルメと一緒に製造施設にいた。
私が見張りのすきをみて銃を奪ったら、アオイとミツキが、すぐに周りの連中を攻撃し始めた。それで、私も撃ちまくった。
そして、乱戦の中、君は脚を撃たれ、アオイとミツキは麻酔銃で眠らされ連れ去られた。ますます無様だ。
しかし、ともかく私たちをリケルメの元に導いてくれた。敵の数も、だいぶ減らしてくれたようだ。研究者にしては上出来と、評価してやった方が良いかもしれないな。30分もしたら、CIA日本支部がリケルメ一味の生き残りを回収しにくるはずだ。君も一緒に回収してもらいたまえ。
エージェント・マスムラ。ここに、奥に通じる通路があります。武器商人一味はここを通って逃げたのでしょう。
マスムラ率いる追跡部隊はオペレーション・ルームを出て、製造施設に移動していった。
慧子の口から安堵の息がもれた。
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