第95話 〈文芸〉とは。なんつって。

文字数 1,475文字

*以下の文章は結果、僕宛にではなかったんだけど、気になるトピックを見たので、思わず筆が動いた、その内容である。杞憂でよかったよー。



気のせいだとは思うけど良いタイミングなので振り返り

僕のことではないと思うんだけど、「カクヨムでユーチューバーやるのか?」っていう謎ワードをキャッチしたので、自意識過剰ムーヴで今夜は自分を振り返ります。これはそういう記事ね。
僕、最近カクヨムさんで連載を始めてさ、で、NOVEL DAYSでの僕の一番PV数が多いのが『早退届』っていう、僕自身は「宣伝チャットノベル」って紹介しているけど、要するに漫画で言うところの「日常系」の作品なのね。「カクヨムでユーチューバーやるのか?」っていう謎ワードをキャッチしたので僕じゃないひとが「成瀬川るるせのことじゃね?」と思う可能性もあるし(だってこのタイミングでカクヨムに連載しまーす、ってここでアナウンスしてるの僕くらいでしょ)、ちょっとスタンスの確認をしておこう。
僕は遙か昔、純文学の新人賞にだけ小説を応募していて、Web小説なんて書かなかった時期が長い。さすがにブンガクとはなんぞや、と勉強もしたさ。僕はブンガクは〈芸術〉だと思い込んでいた。やっていたのも「純文学」だったし(ちなみにその頃の原稿は削除して手元にない)。でも、いつだったか、落語家のひとに言われたんだよ、僕の中で天地がひっくり返るようなことを。その内容とは「〈文芸〉ってのは〈芸能〉だぜ?」というものだった。
教科書では、日本の近代文学は坪内逍遙『小説神髄』を受け取った二葉亭四迷が『浮雲』を書くことから始まる、と書いてあるけど、正確には二葉亭四迷が「具体的にはどういう風に書けばいいいんですか」と坪内逍遙に訊いたら「新聞に落語の速記記事が載ってるだろ、あの文体で」(大意)って風に言われて小説を書いて日本近代文学は始まったんだよね。だから、落語家が僕に「〈文芸〉ってのは〈芸能〉だぜ?」って言った(直接言われたんだぜ)のは、日本の近代文学の成り立ちを考えれば、それはそれで妥当だと思ったし、言われたときに、僕は天地ひっくり返るくらいの衝撃だったけど同時に、むしろ肩の力が抜けて、伸び伸び出来たほどだったりするんだよね。えーっと、これ、何文字くらい書けるかわからないからここで終わりにするけど、一言加えると、僕は孤独です。孤立している。だいたい、僕のまわりで「プロの作家を目指しています!!」って青臭いことを言ってるのは僕だけで、みんな生活を優先させるし、もしくは「不言実行」であって、僕みたいに繰り言を無駄にしているほど酔狂じゃないんだよね。あと、漫画ならともかく、「日常系」を文字ベースでつくるって難しいんだぜ。文字書きで今、「日常系」でユーチューバー並に人気なライターってたぶん、オモコロチャンネルのライターさんたちくらいだと思うんだけど、いや、彼らは凄いよ(プレゼン会議とかやってから書いてんだろうけどね)。
どのみち、今の僕には昔の頃の勢いはないよ。取るに足らない存在なのは相変わらずだし、遙か昔に勢いがあった時期もあるけど、盛者必衰っていうかさ、僕に人気取りをする余力は、思ったほどないと思うよ。
と、いうことで、僕のスタンスを書きました。文学に幻想を抱いていたのなんて、NOVEL DAYSに来るその十年くらい前の話で、僕はそこまでうぶじゃないって話でした。転んでも僕は近代文学に殉じて自刃したりはしないと思う。てか、前提として僕とは関係ないから大丈夫だぜ。お茶を濁してすみません。そういう夜もあるよね。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み