第62話 フォークロアと茨城(のためのブレスト1)

文字数 2,044文字

去年の段階では、「次の長編は炭鉱の小説を書く!」と言っていたのだが、それは〈note神話部〉に投稿したいので炭鉱町の暮らしの、フォークロアなどを調べていったら、最終的に「柳田国男が書いていること」の〈亜種〉がかなりのウェイトを占めている、との情報が炭鉱のフォークロアにも言及している本に書かれてあった。結果として、積み本になっている柳田の本を、本棚から取り出して読むのが理解するには早い、ということになった。
 もちろん、炭鉱で日本の本場は、というと九州と北海道なので、キリスト教文化もあるが、それを抜きに、つまり西洋から見たら〈土着の信仰〉や〈フォークロア〉を見るなら、民族学を参照することになるのであった。
 一応書いておくと英国でワットが蒸気機関を実用化出来るかたちまでにして産業革命が起こり、蒸気船(蒸気で動く)が燃料補給(つまり石炭も)を要求して需要が生まれたのと、僕の住む茨城では逆に〈打ち払い〉のための反射炉(大砲の製鉄)に使うことになったあたりから炭鉱が必要とされたことを考えると、歴史が浅く、柳田国男や折口信夫が書いた歴史のレンジが広い本とは、基本、直接は重ならない。
 だが、まあ、民族学では、田畑をベースにしたひとたちを常民と呼び、海の民と山人は常民とその生活も信仰も、全く違うロジックである、というのが前提となる。さっき僕は、自分は茨城に住んでいると書いたが、柳田国男も子供の頃、茨城の利根川沿いに住んでいた。だからなのか、山人に対する愛着というのがとてもあるらしかった。
 まあ、そんな中、いったん、炭鉱の話は棚上げにして、水戸徳川で面白いネタがあって、それを描きたくなってもいたので、それを、次はどうにか試しにやってみたいなぁ、と考えを変えたのだ(茨城の水戸徳川が打ち払いをしたのにも、炭鉱も、水戸徳川のネタというのも大きく関係している。さらに言うと打ち払いをしたのは具体的には〈水戸学〉がそのベースにある)。
 ただ、〈水戸学〉の世界は理解しようとすると広範囲の知識が必要になるので(なにしろ水戸黄門が始めてから幕末までの長さの伝統があり、敗戦後は「戦争はルーツ的には水戸学が悪いのだ」という風潮も生まれて、調べるのには、いろんな側面から大変)、次回の小説は水戸学はさわりの部分くらいにして、〈呪術〉と〈魔術〉の話にしようと考えているのである。
 だが、呪術と魔術は、相性が悪く、どっちか一方にしないとダブルスタンダードになってしまう。実は西洋魔術と水戸を結ぶラインがあるので、それを僕は次回、題材にしたいのだが、どう処理するか、謎すぎる。山含め、日本となると呪術たくさん出てくるが、そういうわけで魔術とかみ合わせが悪いし、未だに頭を抱えている。
 コンセプトも、まだ覚束ないままだ。だが、なんとかして、主戦場のNOVEL DAYSだけでなく、note神話部でも連載として掲載していきたいと考えている。
 頭をひねって考えるが、やっぱりなにかと難しい。国学とか陽明学とか朱子学を取り込んだ水戸学という線と、呪術、魔術と言った厨二感溢れた線のふたつともで、当たり前だが神話や民話とクロスオーバーするのではあるが、連載の流れによっては神話な感じを毎回出せるか、それもまたわからない。今述べた話は「設定」の話で、落とし込む「ストーリー」はまた別の話だから。神話の神々が争うとか、そういう話にはしないし。
 話がずれまくったが、ライトなものをつくりたい。小難しくてなにが神話だ、なにが民話だ、と思ってる部分が、僕にはある。ひとに寄り添って神話はあったものだと考えているので、僕が書くときは平易な文章を、心がけたい。これは大きな課題なので、クリアを絶対しようと思っている。
 ただ、これは結構眉唾なものに触れてしまいがちな題材なので、研究をしっかりしてから、やろうと思っている。
 ここまで書いてきて、僕の神話観はだいぶほかのひととずれているのがわかると思うが、実作で示すので、お楽しみに。ただ、他所で書いてる連載が完結してからね。あと何ヶ月かかるかわからないけど。そして、またブレストの必要性が出たらnoteに書くことにする。



補。
成瀬川るるせ
2022年7月18日 16:31
1 スキ
はろはろ。帰宅直後に書いてるので眠いるるせでございます!
炭鉱って山神社建てなくちゃならなくて、大山祇が祭神であることが多く、記紀神話に直結しています。鉱山は違う祭神も多いけど、記紀神話にその名があるのが通常です。
一方で、民俗学でヤマというとマタギとか、芸能民や漂流民というラインも出てきます。
大陸とあえて外して列島の人文知で考えただけでもいろいろあって、町を形成するので労組が盛んで、結構左派の言語が飛び交うし、そう思えば縁担ぎは忘れない、っていうのがあり、町の外にはあまり出られないけど、出れば女衒が暗躍する(笑)花街だって栄える。座敷歌から炭坑節が生まれたなんて話も。
って、長くなるから、いずれ、また。
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