第71話 Untitled(自由詩)

文字数 354文字

「おまえはもう終わりだ」という声が絶えず聴こえる。
終わらない。
僕はこれからだ。
焦るな。
敵を見定めろ。

「ゆっくり、静かに、僕はおまえを殺す」

過去の亡霊が絡みついてきて身動きがとれなくなる。
絡みつく敵の腕や足を引きはがすように、僕は弾丸を撃つ。
距離をとって、上手く狙え、相手の心臓を一撃で撃ち抜くんだ。

「なにも終わっていないよ。おまえ以外は、ね」

なるほど、ならば終わらせてやるよ。
終わっている僕が終わりにしてやるよ。
僕はこれからだ。
それは僕が決めた。
死んでくれ、僕のために。
今はもう見えない敵を射殺するためにだけ、僕は生きている。
恥ずかしいね、ああ、恥ずかしいさ。
僕をあの日、裏切ったあいつを殺害し抹消することが、
僕の目標だなんてね。
惨めでみすぼらしい、これは愛と恋を殺す詩だ。

2023/01/31 04:30
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