第12話 三茶抄【三軒茶屋の交差点の真ん中で】

文字数 437文字

三茶抄【三軒茶屋の交差点の真ん中で】



ピピピピピ。
「人間、嫌い!」
涙子(るいこ)吠え
「それでもいいよ、乙女心でしょ?」







階段で
胸高鳴った
踊り場の
シューズを結び
君を追いかけ







善哉の
お餅は伸びる
「小豆も甘いし止まらないの
 どうしてもだよぉ」







カラオケや
鐘が鳴るなり
高得点!!
テストの結果
忘れて歌え!!







勉強を
しなさいザマス
再教育
「事情知らないけど逃げちゃおう!!」







若かりし
いのちへとへと
運動部員の背中見て、ポテチかじるの。







難しく
考え出しちゃ
いけないと
懐メロ語る
ユーチューブ。







悲観する。
おなかすいたの!
だからよね……。
ええい、食べるわ、
なるようになれ!







水鏡
映る姿は
他人みたい
だってわたしは
不可視ですから







恋も花
かなしみは海
街は色
怒りは野山
愛なら知らない







キャラメルの
箱に入れてた
宝物
幼き想い
語り出すのだ!







『オーランドー』
ヴァージニア・ウルフ
つまみ読み
積み重なった
埃、払って







ペルソナを
三軒茶屋で
呼び出して
あの交差点
踏むスニーカー







狐火の
尻尾指さす
茜空
格好付かないままで、わたし……。




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