白虎《執筆者:KAZU》
文字数 2,349文字
司教は仕事に戻り、一行が向かった先は教会近くの空き地だった。
「ここなら何が起きても大丈夫だろう」
ノアはそう言い、シオンとトウラに向き直った。
「でも、もう答えは出てるだろ」
と、トウラは言う。
「お前の魔素はコントロールできるようになったからか? ガキが詠唱分を思い出せないからか? 答えは否」
「なに?」
「お前の魔素の回復は条件付きだ。ガキの方も訓練を積み重ねるうちに思い出すことあるだろう」
「そうだな」
「トウラにはトウラ自身の魔素も強くするから、この猫のいる状態といない状態の2つでやってもらう」
「え~!!」
トウラが嫌がる様には目もくれず、ノアは修行を開始した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「なに? いくらやっても変わらないぞ」
「僕もですよ」
トウラは、猫のいる状態ではすぐに鉱石を魔鉱石にしたが、何もない状態では1時間も経過しても変わらない。見学に疲れたシュートは散歩に出て行っていない。同じくアザミはさっきからずっと草を弄っている。
「お前、力の入れ具合は同じか」
「当たり前だ」
「いや、確認したまでだ。そのようだな」
「やっぱりまだ、魔素を使いこなすのは難しいな」
「ガキに負けんなよ」
「負けねーよ」
と、その時だった。
「おいおい、何やってんだてめえら!」
「そうだそうだ」
「まさか、異能が使えるんじゃないだろうな?」
白いタキシードを着た3人組が乗り込んできたのだ。
「誰だお前ら」
「言うまでもないわ!」
「そうだそうだ」
「まさか、我等のことを知らないんじゃないだろうな?」
「そのまさかだよ」
「いったい誰なんだ!?」
「俺はオーストロだ、ジュリエット様の舎弟だよ」
「そうだそうだ」
「まさか、ジュリエット様を知らないのか?」
「ん? 残党がいたのか?」
「知っているよ。この町に来たんだ」
話が長くなりそうだ。だが、トウラやノアはすでに戦闘態勢に入っている。そこにほんの今まで地面の草を弄っていたアザミが割り入って提案をした。
「まだ僕の本当の力を見てないね」
「いや、見たし!」
今はトウラの突っ込みも跳ね除ける。そう、今は戦闘中。笑いはいらない。
「あれはほんの一部。僕の本当の能力を……」
と言うと、アザミは敵の前面に出た。
「あ、ガキか。簡単だな。行くぞ」
と、オーストロたちは襲い掛かる。
「come out. big white spear!」
オーストロが魔法で光る槍を向けてきた。
『サイッ! リアル・ゲート!』
アザミがまたよくわからないことを呟いている。すると後方に大きな黒い魔法陣が現れた。そしてアザミの体をオーストロが魔法で放った槍が貫いた。
「「「 アザミ!!! 」」」
周りから悲鳴が響く。しかし、アザミは倒れない。槍は後方の魔法陣の中に消え、それと入れ替わりに魔法陣の中から何本か矢が飛び、オーストロの付き人らしき2人に刺さった。2人は白いタキシードを赤く染めながら倒れた。シオンとトウラ、ノアはアザミに駆け寄るが、アザミは傷1つすら負っていない。
「おい! 大丈夫か!?」
オーストロは2人に駆けつける。
「そ、そうだそうだ」
「まさか、我等はやられたんじゃないだろうな?」
「やられてるぞ!」
「今だ、やっちまえ」
ノアがそう発言し、トウラと2人でかかる。
「衝烈――!」
その時だった。トウラの肩に座っていた大きな猫がオーストロをめがけて突っ込む。
猫がひっかこうとすると、猫の手が光りだした。その眩い光はオーストロに向かって包み込む。
「何だあれは!?」
「ただの猫じゃないぞ」
オーストロにダメージを与え、猫の手の光は収まった。一体、あれは何だったのだろうか。場にそんな空気が流れる。
「ぐっ……くそ、覚えてろ、ほら、行くぞ」
と、オーストロは舎弟を抱えて逃げた。シオンたちは追撃はしなかった。
「ああ、あれは雑魚だ。追撃はいい」
ノアがそう言うと、アザミへの質問が始まった。
「アザミ、あの技は何なの?」
「教えないよ」
「昨日のように魔法陣が発生していたな」
「知らないよ」
「なんで、やられたのに傷一つ負っていない!?」
「それは魔法陣が関係しているよ」
アザミは直接言わなかったが、槍がアザミの体を貫く時だけ、自分の体を瞬間移動させていたのだ。もう1回訓練を終えたところで、シュートが合流して家路へとつく。
「あとトウラ、一体あの猫は何だ?」
「あー、今日も終わったな」
「まだ終わってないぞ、その猫は本当に何なんだ」
「ああ、タマか」
「まだ言ってたのか」
「当たり前だ。こいつはタマだ」
「タマの正体についても話さないといけない。こいつはお前の魔素をコントロールしている」
「あ! そうだった!」
猫はトウラの魔素をコントロールしている。そういう重要な事実をトウラは思い出す。そのとき、教会の玄関に先に戻っていたその猫が目に飛び込んできた。
教会に到着し、謎が謎を呼んだ長い一日がやっと終わりを迎えようとしていた。
そこに後ろから聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「ちょっと!!」
「シェロ!?」
「もう解決したのか」
「いたの! いたのよ聖獣が! ここに!」
「まさか!? タマか!」
「タマ?」
「この猫だ。いい名前だろ?」
「とにかく!」
「スルーかよ」
「この猫! 白虎よ!」
トウラが遺跡で見つけたこの猫が、シェロは聖獣・白虎だという。それには一同も驚きを隠せない。
「「「「ええええっ!?」」」」
今日一番の驚愕が鳴り響いた。
「ここなら何が起きても大丈夫だろう」
ノアはそう言い、シオンとトウラに向き直った。
「でも、もう答えは出てるだろ」
と、トウラは言う。
「お前の魔素はコントロールできるようになったからか? ガキが詠唱分を思い出せないからか? 答えは否」
「なに?」
「お前の魔素の回復は条件付きだ。ガキの方も訓練を積み重ねるうちに思い出すことあるだろう」
「そうだな」
「トウラにはトウラ自身の魔素も強くするから、この猫のいる状態といない状態の2つでやってもらう」
「え~!!」
トウラが嫌がる様には目もくれず、ノアは修行を開始した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「なに? いくらやっても変わらないぞ」
「僕もですよ」
トウラは、猫のいる状態ではすぐに鉱石を魔鉱石にしたが、何もない状態では1時間も経過しても変わらない。見学に疲れたシュートは散歩に出て行っていない。同じくアザミはさっきからずっと草を弄っている。
「お前、力の入れ具合は同じか」
「当たり前だ」
「いや、確認したまでだ。そのようだな」
「やっぱりまだ、魔素を使いこなすのは難しいな」
「ガキに負けんなよ」
「負けねーよ」
と、その時だった。
「おいおい、何やってんだてめえら!」
「そうだそうだ」
「まさか、異能が使えるんじゃないだろうな?」
白いタキシードを着た3人組が乗り込んできたのだ。
「誰だお前ら」
「言うまでもないわ!」
「そうだそうだ」
「まさか、我等のことを知らないんじゃないだろうな?」
「そのまさかだよ」
「いったい誰なんだ!?」
「俺はオーストロだ、ジュリエット様の舎弟だよ」
「そうだそうだ」
「まさか、ジュリエット様を知らないのか?」
「ん? 残党がいたのか?」
「知っているよ。この町に来たんだ」
話が長くなりそうだ。だが、トウラやノアはすでに戦闘態勢に入っている。そこにほんの今まで地面の草を弄っていたアザミが割り入って提案をした。
「まだ僕の本当の力を見てないね」
「いや、見たし!」
今はトウラの突っ込みも跳ね除ける。そう、今は戦闘中。笑いはいらない。
「あれはほんの一部。僕の本当の能力を……」
と言うと、アザミは敵の前面に出た。
「あ、ガキか。簡単だな。行くぞ」
と、オーストロたちは襲い掛かる。
「come out. big white spear!」
オーストロが魔法で光る槍を向けてきた。
『サイッ! リアル・ゲート!』
アザミがまたよくわからないことを呟いている。すると後方に大きな黒い魔法陣が現れた。そしてアザミの体をオーストロが魔法で放った槍が貫いた。
「「「 アザミ!!! 」」」
周りから悲鳴が響く。しかし、アザミは倒れない。槍は後方の魔法陣の中に消え、それと入れ替わりに魔法陣の中から何本か矢が飛び、オーストロの付き人らしき2人に刺さった。2人は白いタキシードを赤く染めながら倒れた。シオンとトウラ、ノアはアザミに駆け寄るが、アザミは傷1つすら負っていない。
「おい! 大丈夫か!?」
オーストロは2人に駆けつける。
「そ、そうだそうだ」
「まさか、我等はやられたんじゃないだろうな?」
「やられてるぞ!」
「今だ、やっちまえ」
ノアがそう発言し、トウラと2人でかかる。
「衝烈――!」
その時だった。トウラの肩に座っていた大きな猫がオーストロをめがけて突っ込む。
猫がひっかこうとすると、猫の手が光りだした。その眩い光はオーストロに向かって包み込む。
「何だあれは!?」
「ただの猫じゃないぞ」
オーストロにダメージを与え、猫の手の光は収まった。一体、あれは何だったのだろうか。場にそんな空気が流れる。
「ぐっ……くそ、覚えてろ、ほら、行くぞ」
と、オーストロは舎弟を抱えて逃げた。シオンたちは追撃はしなかった。
「ああ、あれは雑魚だ。追撃はいい」
ノアがそう言うと、アザミへの質問が始まった。
「アザミ、あの技は何なの?」
「教えないよ」
「昨日のように魔法陣が発生していたな」
「知らないよ」
「なんで、やられたのに傷一つ負っていない!?」
「それは魔法陣が関係しているよ」
アザミは直接言わなかったが、槍がアザミの体を貫く時だけ、自分の体を瞬間移動させていたのだ。もう1回訓練を終えたところで、シュートが合流して家路へとつく。
「あとトウラ、一体あの猫は何だ?」
「あー、今日も終わったな」
「まだ終わってないぞ、その猫は本当に何なんだ」
「ああ、タマか」
「まだ言ってたのか」
「当たり前だ。こいつはタマだ」
「タマの正体についても話さないといけない。こいつはお前の魔素をコントロールしている」
「あ! そうだった!」
猫はトウラの魔素をコントロールしている。そういう重要な事実をトウラは思い出す。そのとき、教会の玄関に先に戻っていたその猫が目に飛び込んできた。
教会に到着し、謎が謎を呼んだ長い一日がやっと終わりを迎えようとしていた。
そこに後ろから聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「ちょっと!!」
「シェロ!?」
「もう解決したのか」
「いたの! いたのよ聖獣が! ここに!」
「まさか!? タマか!」
「タマ?」
「この猫だ。いい名前だろ?」
「とにかく!」
「スルーかよ」
「この猫! 白虎よ!」
トウラが遺跡で見つけたこの猫が、シェロは聖獣・白虎だという。それには一同も驚きを隠せない。
「「「「ええええっ!?」」」」
今日一番の驚愕が鳴り響いた。