軍事大国(執筆者:横澤 青葉)
文字数 2,138文字
「よし、行くところ決めたわ!」
「え、どこですか?」
2人になって少し、考えていた。
彼にとっては、どこに行ってもあまり変わらない感じだとは思うが、シェロは手を叩いて言った。
「世界屈指の魔法力と軍事力を誇る、『ラ・カサエル王国』よ!」
「は、はぁ……」
まぁ、色々言いたいのだが、とりあえず一つ言ってみると、『そこどこ』である。
こちら的にはそんなに王国やらの国の名前を覚えているわけでは無いもの。
「そこは何か、世界で初めて『軍艦』っていう鉄の塊を作った国らしいのよね。 そこはやっぱり飛行機とかそういうものもたくさんあるらしいし、暇にはならないと思うわよ」
まぁ、私は海よりも空なんだけどね、とシェロは付け加えて。
そこからまた『ラ・カサエル王国』の飛行機について長々と語り始めてしまくシェロなので、本当に飛行機が好きなのだな、と思う。
「そこにはね、船は船なんだけど飛行機が飛んだり降りたり出来る船もあって──」
そんな話をしながら、2人の飛行機は『ラ・カサエル王国』へと向かっていく──
「……っと。 着いたわよ」
「……僕の口が虹の始まりになりそうだから……」
シオンは着陸した途端に飛行機を抜け出し、壁と壁の角に虹を作った。
「ちょっと整備するから、ここからはあんまり離れないでよね」
「あ、手伝う」
「メルシー。 じゃあ、そこの燃料タンクを整備して──」
「ふぅ。 働いた後の汗は輝くなぁ」
「何言ってんのよ」
全ての整備を終え、コテっと地面に尻をつくシオン。
シオンは燃料タンクの整備だけでこの有様なのに、シェロはまだピンピンとしているので恐ろしい。
「じゃ、早く観光……いや違った、オウルニムスを探しに行きましょう!」
「え、今観光って……」
「ちっちゃいことは気にすんな、って言うでしょ?」
それはワカチコワカチコ……と言いかけたが、って三世代位時代に遅れをとってるな、とシオンは思い、言わないでおいた。
「わぁ、すんごい軍事大国って感じ」
見渡す限りは。
産業革命のようなものが最近起こったのだろうか。 色々な機械がそこかしこに置いてある。
そこで働く人々や、指導をする人々の目にはかなり疲れが見える……気がした。
また、兵器の製造をしているところもあった。
「そうね。 ここは世界屈指の魔法大国であり軍事大国。 ここに戦争をふっかけてもコテンパンにされて終了でしょうね」
シェロはそのまま黙りこんで、少し早足で町中を見ていった。
「ねぇ、どうしたの?」
「……いや、なんでもないわ。」
シェロは少し意味深な笑みをシオンに振りかける。
すると。
「キャー! やめて!!」
まさにありきたり、というか、狙った様なタイミングで。
女の人の叫び声が聞こえた。
声のする方に2人の身体は駆けていく。
シェロは拳銃を構えていた。
声のする路地裏に向かうと、1人の女の人が3人の男に囲まれていた。
「ちょっと、かよわい女の人を襲うなんて、人としてどうなの!?」
男達は一斉にこちらを向いた。その顔には、少しだけ恐怖の色があった。
もう、やめてくれ、と言っているような。
そんなものは問答無用でシェロはその男達の足元に銃を1発、放つ。
「次は足よ」
シェロが言うと、男性3人は怯えたように去っていった──
「ありがとう、ございます!」
少女はシオン達を少女の家に連れて行った。
「いえいえ、当然のことをしたまでよ」
シェロはドヤ顔でそう言った。
「大丈夫でしたか?」
「ええ、お陰様で大丈夫ですよ」
シオンはそれを聞いて少し安心した。 年頃はヒマリと同じくらいだからだろうか。
「何かお礼をしないと……もし宿に困っているようでしたら、ここに泊まっても大丈夫ですよ。 紅茶用意しますね」
「メルシー。 お言葉に甘えてそうさせていただくわ」
「……なぜだろう、何か引っかかる」
「ん、どうしたの?」
「どうしてこんな軍事大国にする必要があったのかしら。 戦争なんてあまりしない国なのに」
「何かやるんじゃないの? お国は何を考えてるかあまり分からないけれど」
「……植民地」
シェロの口からはそう出た。
「小さい頃に、絵本で見たわ」
シェロはそう言った。
「植民地取得のため?」
シオンがそう聞くと、少女が、
「紅茶、出来ましたよ」
と、シェロが言おうとしていることを遮るように言う。
「メルシー。 ……いいわね」
「ありがとうございます」
2人は紅茶をすする。 息ぴったりなその姿はまるで姉弟であった。
「では、しばらく泊まらせて頂きます」
シオンがそう言うと、その少女は、
「りょうかいです」
と、言った──のであろう。
段々と意識が薄れていく。
眠くなっていく。
そのままシオンとシェロは。
倒れた。
「え、どこですか?」
2人になって少し、考えていた。
彼にとっては、どこに行ってもあまり変わらない感じだとは思うが、シェロは手を叩いて言った。
「世界屈指の魔法力と軍事力を誇る、『ラ・カサエル王国』よ!」
「は、はぁ……」
まぁ、色々言いたいのだが、とりあえず一つ言ってみると、『そこどこ』である。
こちら的にはそんなに王国やらの国の名前を覚えているわけでは無いもの。
「そこは何か、世界で初めて『軍艦』っていう鉄の塊を作った国らしいのよね。 そこはやっぱり飛行機とかそういうものもたくさんあるらしいし、暇にはならないと思うわよ」
まぁ、私は海よりも空なんだけどね、とシェロは付け加えて。
そこからまた『ラ・カサエル王国』の飛行機について長々と語り始めてしまくシェロなので、本当に飛行機が好きなのだな、と思う。
「そこにはね、船は船なんだけど飛行機が飛んだり降りたり出来る船もあって──」
そんな話をしながら、2人の飛行機は『ラ・カサエル王国』へと向かっていく──
「……っと。 着いたわよ」
「……僕の口が虹の始まりになりそうだから……」
シオンは着陸した途端に飛行機を抜け出し、壁と壁の角に虹を作った。
「ちょっと整備するから、ここからはあんまり離れないでよね」
「あ、手伝う」
「メルシー。 じゃあ、そこの燃料タンクを整備して──」
「ふぅ。 働いた後の汗は輝くなぁ」
「何言ってんのよ」
全ての整備を終え、コテっと地面に尻をつくシオン。
シオンは燃料タンクの整備だけでこの有様なのに、シェロはまだピンピンとしているので恐ろしい。
「じゃ、早く観光……いや違った、オウルニムスを探しに行きましょう!」
「え、今観光って……」
「ちっちゃいことは気にすんな、って言うでしょ?」
それはワカチコワカチコ……と言いかけたが、って三世代位時代に遅れをとってるな、とシオンは思い、言わないでおいた。
「わぁ、すんごい軍事大国って感じ」
見渡す限りは。
産業革命のようなものが最近起こったのだろうか。 色々な機械がそこかしこに置いてある。
そこで働く人々や、指導をする人々の目にはかなり疲れが見える……気がした。
また、兵器の製造をしているところもあった。
「そうね。 ここは世界屈指の魔法大国であり軍事大国。 ここに戦争をふっかけてもコテンパンにされて終了でしょうね」
シェロはそのまま黙りこんで、少し早足で町中を見ていった。
「ねぇ、どうしたの?」
「……いや、なんでもないわ。」
シェロは少し意味深な笑みをシオンに振りかける。
すると。
「キャー! やめて!!」
まさにありきたり、というか、狙った様なタイミングで。
女の人の叫び声が聞こえた。
声のする方に2人の身体は駆けていく。
シェロは拳銃を構えていた。
声のする路地裏に向かうと、1人の女の人が3人の男に囲まれていた。
「ちょっと、かよわい女の人を襲うなんて、人としてどうなの!?」
男達は一斉にこちらを向いた。その顔には、少しだけ恐怖の色があった。
もう、やめてくれ、と言っているような。
そんなものは問答無用でシェロはその男達の足元に銃を1発、放つ。
「次は足よ」
シェロが言うと、男性3人は怯えたように去っていった──
「ありがとう、ございます!」
少女はシオン達を少女の家に連れて行った。
「いえいえ、当然のことをしたまでよ」
シェロはドヤ顔でそう言った。
「大丈夫でしたか?」
「ええ、お陰様で大丈夫ですよ」
シオンはそれを聞いて少し安心した。 年頃はヒマリと同じくらいだからだろうか。
「何かお礼をしないと……もし宿に困っているようでしたら、ここに泊まっても大丈夫ですよ。 紅茶用意しますね」
「メルシー。 お言葉に甘えてそうさせていただくわ」
「……なぜだろう、何か引っかかる」
「ん、どうしたの?」
「どうしてこんな軍事大国にする必要があったのかしら。 戦争なんてあまりしない国なのに」
「何かやるんじゃないの? お国は何を考えてるかあまり分からないけれど」
「……植民地」
シェロの口からはそう出た。
「小さい頃に、絵本で見たわ」
シェロはそう言った。
「植民地取得のため?」
シオンがそう聞くと、少女が、
「紅茶、出来ましたよ」
と、シェロが言おうとしていることを遮るように言う。
「メルシー。 ……いいわね」
「ありがとうございます」
2人は紅茶をすする。 息ぴったりなその姿はまるで姉弟であった。
「では、しばらく泊まらせて頂きます」
シオンがそう言うと、その少女は、
「りょうかいです」
と、言った──のであろう。
段々と意識が薄れていく。
眠くなっていく。
そのままシオンとシェロは。
倒れた。