新たな仲間《執筆者:鈴鹿 歌音》
文字数 2,257文字
「シフォン、もう大丈夫なの? 起きて平気?」
シフォンは涙目になり、ヒマリに抱きついた。
「えっ、ええっ、ちょっとシフォン……どうしたの?」
いきなりシフォンに抱きつかれたヒマリは動揺を隠せない。抱きつかれたと同時にシフォンが泣いている事に気がついた。
「シフォン? どこか痛いところでもあるの?」
「違います……。私 、大切な友達に嘘ついて殺そうとしました……。ごめんなさい……。本当にごめんなさい……」
シフォンの涙がヒマリのブラウスを濡らしていく。昨夜の怪我は『運命の選択 』で無かったことになっているのでハートのハンカチを腕から外し、シフォンに渡した。
「そうだね。ちょっと許せないなぁ、シフォン。あたしたち、死にかけたんだから」
「本当にごめんなさい……。私 のお兄様がやった狼藉 をお許しください……」
シフォンには、昨夜の記憶があるのかハートが確認してみることにする。
「シフォン、昨日の夜何があったか覚えているのかしら?」
「はい、ある程度ですけど。私 、ここでグレイシアお兄様に殺される運命だったのです。でも、生き延びる事が出来たのもヒマリさんのおかげなんです。だから、助けてくれたヒマリさんとハートさんが大好きです」
「これも確認なんだけど……シフォンはグレイシアの事、き……」
シフォンは、ハートの問いかけに泣き笑いを浮かべて答える。
「はい、あんなグレイシアお兄様大嫌いです。世界で一番大嫌いです」
「シフォン……あなた、これから命狙われるわよ」
「そうですね、ハートさん。でも私 、これでも長年刺客やっていたので変装とかは得意ですよ。これからは、ヒマリさんの事を『ヒマリちゃん』、ハートさんの事を『ハートお姉さま』と言えば私 だと言うことがバレないですよ。それに今後、グレイシアお兄様に狙われた時の為に私 がいた方が助けになると思うんですよ。そうですよね、ハートお姉さま」
いきなりのシフォンの変貌 にヒマリとハートはお互いを見合わせた。ハートは、『ハートお姉さま』と呼ばれて嬉しかったのであろう。顔がにやついている。
「げふん、それはさておき。これからもよろしくね、シフォン」
「シフォン、お帰りなさい!!」
シフォンは、今までにない1番の笑顔を浮かべて見せた。
「ただいま戻りました。ヒマリちゃん、ハートお姉さま。これからもよろしくお願いします」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「そう言えば、スペードキングダムってどんな所なの?」
シフォンは少し考えて、面白 おかしく言ってみせる。
「そうですね。警備をしているロボットがいますね。後は、からくり時計とかシンボルですよ。入国するには、からくり扉前にいる警備ロボットに入国手形を見せる必要があるんですよね。無かったらその場で逮捕ですね」
ハートは、申し訳なさそうにヒマリとシフォンに大事なことを告げる。
「実はいうと私たち、入国手形を持っていなくて……」
「ハートお姉さまがそう言うと思って作っておきました。偽造入国手形でーす!!」
スペードキングダムに必要な入国手形がどのようなものかは、ヒマリにもハートにも分からないが、シフォンが手にしていたのは、手作りで作られた木彫りの入国手形であった。
「凄いわね、シフォン。あなた、ある意味天才よ!!」
「えへへ、ハートお姉さまに褒 められちゃった。私 にとっては、最高のご褒美ですよ」
ハートは、立ち上がった。それにつられるようにヒマリとシフォンも立ち上がる。
「今から、急いでデカフォニック渓谷 と隠者の森 を抜けてそのままスペードキングダムに向かうわよ。このまま行けば今日の夕方には、スペードキングダムに到着できるはずよ」
「ハート、張り切ってるね。あたしも頑張るぞぉ!!」
「ハートお姉さま、私 が引き続き、道案内をします。もうすぐデカフォニック渓谷 と隠者の森 を抜けることが出来ますよ。ほら、まだ小さいですけどスペードキングダムが見えますよ」
昨夜は、全く気づかなかったが、スペードキングダムの門が遠くに見えていた。ヒマリとシフォンは、ハートの手を掴む。
「あら、あなたたちがやる気になったのね」
「だって、もうすぐでこのデカフォニック渓谷 と隠者の森 とお別れ出来るし、久しぶりの大きな国だよ。あたし、楽しみなの。『スペードキングダムには、何があるのかな?』、って……」
「ヒマリちゃんも楽しみにしているみたいですし、ハートお姉さまも早く行きましょう。私 は、もうヒマリちゃんとハートお姉さまを裏切りませんから」
このヒマリとシフォンの振る舞いにハートは嬉しくなり、歌を歌う。
その名も『勇ましく堂々たれ』
今のヒマリたちを表した歌は、デカフォニック渓谷 と隠者の森 に名残 深く、綺麗に響いた。
シフォンは涙目になり、ヒマリに抱きついた。
「えっ、ええっ、ちょっとシフォン……どうしたの?」
いきなりシフォンに抱きつかれたヒマリは動揺を隠せない。抱きつかれたと同時にシフォンが泣いている事に気がついた。
「シフォン? どこか痛いところでもあるの?」
「違います……。
シフォンの涙がヒマリのブラウスを濡らしていく。昨夜の怪我は『運命の
「そうだね。ちょっと許せないなぁ、シフォン。あたしたち、死にかけたんだから」
「本当にごめんなさい……。
シフォンには、昨夜の記憶があるのかハートが確認してみることにする。
「シフォン、昨日の夜何があったか覚えているのかしら?」
「はい、ある程度ですけど。
「これも確認なんだけど……シフォンはグレイシアの事、き……」
シフォンは、ハートの問いかけに泣き笑いを浮かべて答える。
「はい、あんなグレイシアお兄様大嫌いです。世界で一番大嫌いです」
「シフォン……あなた、これから命狙われるわよ」
「そうですね、ハートさん。でも
いきなりのシフォンの
「げふん、それはさておき。これからもよろしくね、シフォン」
「シフォン、お帰りなさい!!」
シフォンは、今までにない1番の笑顔を浮かべて見せた。
「ただいま戻りました。ヒマリちゃん、ハートお姉さま。これからもよろしくお願いします」
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「そう言えば、スペードキングダムってどんな所なの?」
シフォンは少し考えて、
「そうですね。警備をしているロボットがいますね。後は、からくり時計とかシンボルですよ。入国するには、からくり扉前にいる警備ロボットに入国手形を見せる必要があるんですよね。無かったらその場で逮捕ですね」
ハートは、申し訳なさそうにヒマリとシフォンに大事なことを告げる。
「実はいうと私たち、入国手形を持っていなくて……」
「ハートお姉さまがそう言うと思って作っておきました。偽造入国手形でーす!!」
スペードキングダムに必要な入国手形がどのようなものかは、ヒマリにもハートにも分からないが、シフォンが手にしていたのは、手作りで作られた木彫りの入国手形であった。
「凄いわね、シフォン。あなた、ある意味天才よ!!」
「えへへ、ハートお姉さまに
ハートは、立ち上がった。それにつられるようにヒマリとシフォンも立ち上がる。
「今から、急いでデカフォニック
「ハート、張り切ってるね。あたしも頑張るぞぉ!!」
「ハートお姉さま、
昨夜は、全く気づかなかったが、スペードキングダムの門が遠くに見えていた。ヒマリとシフォンは、ハートの手を掴む。
「あら、あなたたちがやる気になったのね」
「だって、もうすぐでこのデカフォニック
「ヒマリちゃんも楽しみにしているみたいですし、ハートお姉さまも早く行きましょう。
このヒマリとシフォンの振る舞いにハートは嬉しくなり、歌を歌う。
その名も『勇ましく堂々たれ』
今のヒマリたちを表した歌は、デカフォニック