幼子(執筆者:紙本 臨夢)

文字数 359文字

 石で包まれた建物の中に一人の幼い子供がいる。灯りが一切なく真っ暗だ。でも、何の迷いもなく歩いている。ゆっくりゆっくりと地面を踏みしめるようにして。


 向かっているのはある場所。そこに何があるのか。誰にもわからないが、絶対に何かあると幼子は確信している。グラッと一帯が揺れたが、全く動じずに目的の場所に向かうのみ。


 目的の場所に向かう最中に月明かりが射し込んでいる場所がある。光を避けるのかと思うが、一切避ける挙動をしない。ただ、真っ直ぐ歩むのみ。



 幼子が月明かりに照らされた。


 髪は長くて顔が一切見えない。死人のような真っ白な肌。服は一切着ていない。そして、なによりも心臓の部分が空洞で、性別がわかるはずの股間の部分は血まみれで何も見えない。


 それでもただ、目的地に一直線で歩むのみ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み