黒十字軍 前編(執筆者:横澤 青葉)
文字数 2,024文字
冷たい、床。
黒い、床。
重層感のあるこの場所。
ここはどこだ?
「……ぅ」
硬い床で寝転がっていたからか。 体が痛い。
シオンは、そんな重い体を起こす。
「……ここは?」
目の前には──
管制室のようなものが。
色々なボタンやらレバーやらが色々と組み込まれていて、『これは触っちゃイカンな』といった雰囲気を醸し出している。
壁や床は黒く塗られていて、 ロウソクやランプが灯されていた。
「……ぅぁ」
「シェロ? 大丈夫?」
「……少々の体の痛み以外は」
シェロはそう言うと、ヒョイっと飛び上がって起き上がった。
「……何かの部屋かしら。 あのボタンとかは触っちゃダメそうね」
「……ここがどこか、分かる?」
シオンが聞くと、
「いいえ、全く」
とシェロは返した。
「……とりあえず、ここから出よう。 探検的なアレ、やろうよ」
「そうね。 行きましょう!」
シェロはそう言って管制室の所にかけてあった散弾銃を持ち、そしてシオンにも渡し、管制室からどこかへ繋がる扉を開けていく──
「ここが客室……っぽい」
「そうね。 それに床が安定してないから、ここが船であることも間違えないわね」
と、シェロは考察した。その後分かることであるが、シェロの考察は全て合っているのである。
「んじゃ、開けるよ……」
シオンが客室の一つに手を掛け、開けると──
「うわああああああ!」
「うわああああああ!」
「うわああああああ!」
「俺の名前は『カーボベル・アヤナミ』だ。 変な名前なんだけど、よろしくな」
客室には。
カーボベルと名乗る男がいた。
弾薬を肩に下げ、マシンガンのようなものも肩に下げた軍服を着たいわゆる『おっさん』であった。
そりゃ客室にいるとは思わなかったおっさんがいたらシオンもシェロも驚く。
3人とも自己紹介を終えると、カーボベルは「あ、」と言って駆け出した。
シオンとシェロは顔を見合わせていたのだが、しばらくして帰ってきた。
「来てくれ」
カーボベルに言われてついて行った先は、多分食堂であった。そこには色んな男女が不安そうな顔をしながら待っていた。
え、人?
「……まさかこんなにいたとはね」
シェロも棒立ちのまま動かなくなる。
「はいはい、前に出て」
言われるがままシオンとシェロは食堂の前にある黒板のような場所の前に立った。
「シオン船長とシェロ副船長だ」
ん。
……ん?
「……いやあの」
「だってお前さんたち管制室にいたんだろ? じゃあそういうことだろ。 みんな客室にいたんだもの」
「えぇ……」
シェロの方を見ても、困ったような顔をしていた。
「……諸君。 捕ラワレシ諸君。 我ラハ『黒十字軍』」
電報だろうか、FAXみたいな機械は紙に段々と文字を打っていく。
「我、10日後ニ諸君等住ミシ島、即チ『ミシシッピ島』ヲ航空軍、海軍、陸軍ノ総攻撃ニヨリ攻撃セリ」
「……え」
シェロは多分1番早く状況を理解したのだろう、そんな声を出した。
「……嫌だよ」
「死にたくないよ……」
次々とそんな声が溢れる。
しかし、シェロは少し深呼吸をした後、言った。
「大丈夫。 何とかするわ」
シェロは拳を強く握って言った。
「私達が」
「とは言っても、どうしましょうね」
「どうするか、ね……」
シェロとシオンは管制室の隣の会議室(と書いてある札があった)でカーボベルと金髪の小学6年生くらいの子、『リシュリュー・ライト』と会議をしていた。
その『リシュリュー・ライト』という金髪ツインテールの子はカーボベル曰く、『やべえぐらい強い』らしい。両腰にサーベルを備えている。
「ひゃくにんのてきなら私が『憑依』でたおせるっす。 それいこうはカーボベルさんにおねがいするっす」
リシュリューはペタンと椅子に座って言った。 小さくて顔が見えない。
「『憑依』って?」
「ああ、いっしゅの『まほう』っす。 私のまわりにいる、よくわかんないやつがわたしにちからをかしてくれるっす」
「なるほど……」
シオンは分からないけれど言っておく。 シェロも多分意味が分からなかったと信じたい。
「その他に戦力はないの?」
「多少戦えるやつはいるけど、それ以外のやつは戦闘力皆無ってとこかな」
シェロが聞くと、カーボベルは困ったように答えた。
そうしている間に、シオンは色々と紙に書き込んでいた。
「……何それ?」
「ああ、ちょっと整理中ですが、作戦はあります」
戦力が少ないのなら。
「作ればいいんですよ、戦力」
黒い、床。
重層感のあるこの場所。
ここはどこだ?
「……ぅ」
硬い床で寝転がっていたからか。 体が痛い。
シオンは、そんな重い体を起こす。
「……ここは?」
目の前には──
管制室のようなものが。
色々なボタンやらレバーやらが色々と組み込まれていて、『これは触っちゃイカンな』といった雰囲気を醸し出している。
壁や床は黒く塗られていて、 ロウソクやランプが灯されていた。
「……ぅぁ」
「シェロ? 大丈夫?」
「……少々の体の痛み以外は」
シェロはそう言うと、ヒョイっと飛び上がって起き上がった。
「……何かの部屋かしら。 あのボタンとかは触っちゃダメそうね」
「……ここがどこか、分かる?」
シオンが聞くと、
「いいえ、全く」
とシェロは返した。
「……とりあえず、ここから出よう。 探検的なアレ、やろうよ」
「そうね。 行きましょう!」
シェロはそう言って管制室の所にかけてあった散弾銃を持ち、そしてシオンにも渡し、管制室からどこかへ繋がる扉を開けていく──
「ここが客室……っぽい」
「そうね。 それに床が安定してないから、ここが船であることも間違えないわね」
と、シェロは考察した。その後分かることであるが、シェロの考察は全て合っているのである。
「んじゃ、開けるよ……」
シオンが客室の一つに手を掛け、開けると──
「うわああああああ!」
「うわああああああ!」
「うわああああああ!」
「俺の名前は『カーボベル・アヤナミ』だ。 変な名前なんだけど、よろしくな」
客室には。
カーボベルと名乗る男がいた。
弾薬を肩に下げ、マシンガンのようなものも肩に下げた軍服を着たいわゆる『おっさん』であった。
そりゃ客室にいるとは思わなかったおっさんがいたらシオンもシェロも驚く。
3人とも自己紹介を終えると、カーボベルは「あ、」と言って駆け出した。
シオンとシェロは顔を見合わせていたのだが、しばらくして帰ってきた。
「来てくれ」
カーボベルに言われてついて行った先は、多分食堂であった。そこには色んな男女が不安そうな顔をしながら待っていた。
え、人?
「……まさかこんなにいたとはね」
シェロも棒立ちのまま動かなくなる。
「はいはい、前に出て」
言われるがままシオンとシェロは食堂の前にある黒板のような場所の前に立った。
「シオン船長とシェロ副船長だ」
ん。
……ん?
「……いやあの」
「だってお前さんたち管制室にいたんだろ? じゃあそういうことだろ。 みんな客室にいたんだもの」
「えぇ……」
シェロの方を見ても、困ったような顔をしていた。
「……諸君。 捕ラワレシ諸君。 我ラハ『黒十字軍』」
電報だろうか、FAXみたいな機械は紙に段々と文字を打っていく。
「我、10日後ニ諸君等住ミシ島、即チ『ミシシッピ島』ヲ航空軍、海軍、陸軍ノ総攻撃ニヨリ攻撃セリ」
「……え」
シェロは多分1番早く状況を理解したのだろう、そんな声を出した。
「……嫌だよ」
「死にたくないよ……」
次々とそんな声が溢れる。
しかし、シェロは少し深呼吸をした後、言った。
「大丈夫。 何とかするわ」
シェロは拳を強く握って言った。
「私達が」
「とは言っても、どうしましょうね」
「どうするか、ね……」
シェロとシオンは管制室の隣の会議室(と書いてある札があった)でカーボベルと金髪の小学6年生くらいの子、『リシュリュー・ライト』と会議をしていた。
その『リシュリュー・ライト』という金髪ツインテールの子はカーボベル曰く、『やべえぐらい強い』らしい。両腰にサーベルを備えている。
「ひゃくにんのてきなら私が『憑依』でたおせるっす。 それいこうはカーボベルさんにおねがいするっす」
リシュリューはペタンと椅子に座って言った。 小さくて顔が見えない。
「『憑依』って?」
「ああ、いっしゅの『まほう』っす。 私のまわりにいる、よくわかんないやつがわたしにちからをかしてくれるっす」
「なるほど……」
シオンは分からないけれど言っておく。 シェロも多分意味が分からなかったと信じたい。
「その他に戦力はないの?」
「多少戦えるやつはいるけど、それ以外のやつは戦闘力皆無ってとこかな」
シェロが聞くと、カーボベルは困ったように答えた。
そうしている間に、シオンは色々と紙に書き込んでいた。
「……何それ?」
「ああ、ちょっと整理中ですが、作戦はあります」
戦力が少ないのなら。
「作ればいいんですよ、戦力」