#43-2 失態 <エリック視点>
文字数 3,540文字
リハーサルまでは、祥子も俺も外での仕事が入っている。お昼に一緒になる事は無い。
今は祥子を傷つけたくないから、出来るだけ会わないほうがいい。
静かに審判が下されるのを待つしかない。
そういう時に限って会うのかもしれない。
「エリック、今、戻ったの?」
「あ…祥子」
「私も今、戻ってきたのよ。今日ね小学校に行って来たの。見て。可愛い花束貰ってきちゃった」
そう言って嬉しそうに小さな花束を見せる。どこから見ても花屋の物じゃなかった。
「良かったね」
「花壇の花を摘んでくれたんだって。それでも嬉しいわ」
「なら、早く水に入れなきゃ」
「そうね。じゃ、エリック、またね」
祥子と一緒にいたいのに、一緒にいたら罪悪感で口走ってしまいそうだから避けた。
何もなければ言わなくていい。自分の中に留めておけばいい。祥子に聞かれたら正直に話せばいい。祥子だけ愛してるのを前提に話せばいい。
☆
シェリルは変わらず俺と練習をしていく。今のこの音なら誰にも文句はつけられないはずだ。
「自分ひとりの演奏じゃないから、緊張しちゃうんですよ」
そう言って笑う顔は可愛いんだが、フワリと漂う香りに祥子を思い出してしまう。この香りがこの土地の物でないから、祥子だけの香りと思いこんでいた。
☆
リハーサルでガド爺が驚いた。
「シェリル、君の音をここまで引き上げたのは誰じゃ?」
ガド爺は祥子だと思ったようで、チラッと祥子に視線を飛ばす。当の祥子は大慌てで首を振った。
「エリックです」
シェリルが俺の名を出したら、ガド爺が視線を俺に止め笑って頷いた。
「そうかそうか。それを忘れないでいくんじゃぞ」
「はい」
音を合わせている時は自由だった。祥子の音を手繰り寄せ気持ちを載せる。
「祥子、好きだ」
直ぐに応えが返ってくる。
「エリック、好きよ」
この時だけ、俺は祥子を裏切ったのを忘れていられた。
リハーサルの後で祥子が来た。
「ねぇ、エリックは気づいてた?」
「何を?」
「シェリルのつけてる香水って私と一緒なのよ」
(気づかれた?)
「そうかい?」
「リサが気づいて教えてくれたの。私もシェリルの後ろに居たから気づいたわ」
「へぇ」
ホッとした。
「シェリルは私の香水の香りを気に入ってくれたんだわ。良かったわ」
「良かった?」
「えぇ。私の香りがシェリルに嫌われてると思ってたから」
「そう」
祥子がクスリと笑った。
「でね、リサったら、エリックが香りで私とシェリルを間違えないように言っておくのよ。だって」
「そ、そう」
ドキリとした。そのせいで俺は間違いを犯した…とは言えなかった。出来れば、早く気づいて言って欲しかった。
祥子がガド爺に呼ばれて俺の前から居なくなった。
☆
定期演奏会が来る。祥子は相変わらず緊張している。
「シェリルみたいに気持ち悪くならないからマシだけど」
そう言いながら俺の腕をぎゅっと握り締めていた。
「今日は硝子を使うんだね」
「定期演奏会でのお披露目よ。じゃ、エリック、最高の音を」
「祥子も」
惑星 も 冥王星 も出来は最高だった。ガド爺の指揮もノリに乗っている。
ピアノ協奏曲では祥子のウズラが美味しそうにローストされ、オレンジのソースが掛けられた。
今回の目玉はシェリルになる。学生でここまで合わせて弾ければ、これから先も上手くいくだろう。
☆
「1週間お休み貰って日本に帰ってくるわ」
「ゆっくり羽伸ばしてくるんだよ」
「えぇ。電話するね」
「あぁ」
少しだけ緊張が解かれるのにホッとしていた。
シェリルから何も連絡が無い。何も寄こさないって事は、大丈夫だったって事だろうか。
さすがに演奏会から1週間も経ってるから、こちらから連絡を入れる。
「シェリル。俺、エリックだけど」
「あ、エリック」
「あれから」
「あ」
シェリルが口をつぐんだ。
「もしかして」
「ご、ごめんなさい。予定日過ぎてもこなくて。でも、演奏会で狂ったのかと思って、まだ」
「かなり遅れてるのか?」
「…はい」
「検査薬は買った?」
「はい」
「なら、直ぐ調べて。これから会えるか?」
「はい」
シェリルの家の傍のカフェで待ち合わせた。俺がコーヒーを飲んでいたらシェリルが来た。
「エリック、お待たせしました」
「いや」
シェリルが頼んだのが運ばれてきてから、本題に入る。
「シェリル、それで?」
ストローを動かしてた指を止めて、シェリルが俺を見た。
「陽性でした」
審判が下された。
「シェリルはどうしたい?」
「まだはっきりとした訳じゃないから。もう少ししてから調べれば陰性かもしれないし」
「いや。多分、正しいと思う。予定日より1週間は経ってるだろ?」
「はい」
「それに、あれから2週間は経ってる」
日数を数えるのに祥子の誕生日からっていうのも皮肉なものだ。
「はい」
「明日、病院に行こう。少し離れた病院がいいね」
「…はい」
「シェリルはどうしたい?」
「どうする?」
「産みたいのか、そうでないか。俺としては、できれば」
堕ろして欲しいと、はっきり言えない。それこそ男のエゴになってしまう。責任は取らなくてはならない。ただ、シェリルはまだ学生だから、本人が堕ろしたいと望めば。
「私、産みたい。愛してる人の子供だから」
「…そうか。分かった」
「エリックは子供を認めてくれればいいです。結婚は無理ならそれでも」
「子供には父親が必要だ。俺が、父親なんだから。でも、シェリル。君を愛するのに時間がかかる」
「苅谷さんですね」
「そうだ。今は彼女を愛してるから」
「エリック、ごめんなさい。私が拒めばこんな事にはならなかった」
「過ぎた事を後悔しても始まらないんだ」
俺は祥子を諦める。
俺が起こした責任だ。シェリルともいい家庭を築けるよう努力しよう。シェリルを愛して。
「シェリル」
「何?」
「もし、俺が君の事を愛せなかったら?」
「それでもいいです。私はエリックの事、愛してますから」
「…そう」
シェリルも受け止めてるんだ。なら、そうすべき事なんだな。彼女の日常を壊した償いだ。
翌日、病院で「おめでとうございます」を言われた。
☆
祥子に全てを話さなきゃならない。
昨日、ウィーンに戻って来たって連絡を貰った。今日は時差ボケを治すって休みを貰ってる。
夜、シドの家に行った。祥子に門を開けて貰った。俺を見て嬉しそうに笑い、探す様に顔を動かした。
「コーダの散歩じゃないのね」
「今日は祥子に大事な話があって」
「大事な話? 私のお土産話とどっちが大事?」
祥子の話のほうを聞いていたい。だが。
「悪い。俺の話を聞いて欲しい」
「分かったわ。どうぞ」
「…」
改めて言われると話しづらくなる。話が切り出せない。
「エリック、どうしたの?」
俺は目の前に居る祥子を悲しませなきゃならない。
「祥子、ごめん」
「なあに? 最近、エリックったら謝ってばかりね。悪い事してたの?」
「そうなる」
「え?」
驚いた祥子の顔が俺を覗き込む。俺は眼を閉じ、大きく深呼吸をしてから祥子の顔を見る。
「シェリルに赤ちゃんが出来た」
そう言ったら、祥子は「なんだ」というように緊張を解いた。
「あら。それはおめでたいわ。まだ学生だったよね」
「祥子、聞いてくれ。その子供は、俺の子なんだ」
「俺の子?」
冗談を聞いたように祥子が繰り返し、もう一度繰り返す。
「俺の? あなた?」
祥子が口に手を当てて俺を刺すように見た。
「エリック…嘘でしょ?」
「本当だ」
「…嘘」
「シェリルのお腹には俺との子供が居る」
これで終わりだ。あとは祥子が問う事に正直に答えるだけだ。
なのに、祥子の口から出てきたのは、俺が予想してた問いじゃなかった。祥子が俺の腕を強く掴む。
「私、私のどこがいけなかったの?!」
こう聞かれるとは思わなかった。胸が痛んだ。祥子は泣き出しそうな顔で俺を見る。
「祥子はどこも悪くないんだ。祥子は俺にとって最高の女性だ。離したくない女性だ。なのに、俺が、俺が悪いんだ」
祥子が背中を向ける。
「いつそんな事を」
「祥子の誕生日だったのを知る前」
祥子の肩が揺れた。
「シェリルとは知り合いだったの?」
「シェリルとは練習で初めて会った」
「隠れて付き合ってたの?」
「俺が付き合ってるのは祥子だけだ」
「なら、…どうして?」
「飲みすぎて、祥子の香りがして間違って」
祥子の両手が顔を覆う。
「祥子、ごめん。俺は」
「もう聞きたくないわ」
「シェリルは学生だから、堕ろすかと」
俺が言い終わる前に、祥子が両手を離して俺を見た。涙が落ちる。
「赤ちゃんに罪は無いのよ!」
そう言って顔を地面に向けた。
「命を刈り取るのはイケナイ事よ。切実な理由が無い限り」
「あぁ。…だから俺はシェリルと居なきゃならない」
「分かった。エリック、今迄ありがとう。幸せ…だったわ」
「祥子、…さよなら」
「さよなら…エリック」
祥子と俺の間で門が閉まった。
これで、俺と祥子の関係は終わった。そんな決定的瞬間だった。
- #43 F I N -
今は祥子を傷つけたくないから、出来るだけ会わないほうがいい。
静かに審判が下されるのを待つしかない。
そういう時に限って会うのかもしれない。
「エリック、今、戻ったの?」
「あ…祥子」
「私も今、戻ってきたのよ。今日ね小学校に行って来たの。見て。可愛い花束貰ってきちゃった」
そう言って嬉しそうに小さな花束を見せる。どこから見ても花屋の物じゃなかった。
「良かったね」
「花壇の花を摘んでくれたんだって。それでも嬉しいわ」
「なら、早く水に入れなきゃ」
「そうね。じゃ、エリック、またね」
祥子と一緒にいたいのに、一緒にいたら罪悪感で口走ってしまいそうだから避けた。
何もなければ言わなくていい。自分の中に留めておけばいい。祥子に聞かれたら正直に話せばいい。祥子だけ愛してるのを前提に話せばいい。
☆
シェリルは変わらず俺と練習をしていく。今のこの音なら誰にも文句はつけられないはずだ。
「自分ひとりの演奏じゃないから、緊張しちゃうんですよ」
そう言って笑う顔は可愛いんだが、フワリと漂う香りに祥子を思い出してしまう。この香りがこの土地の物でないから、祥子だけの香りと思いこんでいた。
☆
リハーサルでガド爺が驚いた。
「シェリル、君の音をここまで引き上げたのは誰じゃ?」
ガド爺は祥子だと思ったようで、チラッと祥子に視線を飛ばす。当の祥子は大慌てで首を振った。
「エリックです」
シェリルが俺の名を出したら、ガド爺が視線を俺に止め笑って頷いた。
「そうかそうか。それを忘れないでいくんじゃぞ」
「はい」
音を合わせている時は自由だった。祥子の音を手繰り寄せ気持ちを載せる。
「祥子、好きだ」
直ぐに応えが返ってくる。
「エリック、好きよ」
この時だけ、俺は祥子を裏切ったのを忘れていられた。
リハーサルの後で祥子が来た。
「ねぇ、エリックは気づいてた?」
「何を?」
「シェリルのつけてる香水って私と一緒なのよ」
(気づかれた?)
「そうかい?」
「リサが気づいて教えてくれたの。私もシェリルの後ろに居たから気づいたわ」
「へぇ」
ホッとした。
「シェリルは私の香水の香りを気に入ってくれたんだわ。良かったわ」
「良かった?」
「えぇ。私の香りがシェリルに嫌われてると思ってたから」
「そう」
祥子がクスリと笑った。
「でね、リサったら、エリックが香りで私とシェリルを間違えないように言っておくのよ。だって」
「そ、そう」
ドキリとした。そのせいで俺は間違いを犯した…とは言えなかった。出来れば、早く気づいて言って欲しかった。
祥子がガド爺に呼ばれて俺の前から居なくなった。
☆
定期演奏会が来る。祥子は相変わらず緊張している。
「シェリルみたいに気持ち悪くならないからマシだけど」
そう言いながら俺の腕をぎゅっと握り締めていた。
「今日は硝子を使うんだね」
「定期演奏会でのお披露目よ。じゃ、エリック、最高の音を」
「祥子も」
惑星 も 冥王星 も出来は最高だった。ガド爺の指揮もノリに乗っている。
ピアノ協奏曲では祥子のウズラが美味しそうにローストされ、オレンジのソースが掛けられた。
今回の目玉はシェリルになる。学生でここまで合わせて弾ければ、これから先も上手くいくだろう。
☆
「1週間お休み貰って日本に帰ってくるわ」
「ゆっくり羽伸ばしてくるんだよ」
「えぇ。電話するね」
「あぁ」
少しだけ緊張が解かれるのにホッとしていた。
シェリルから何も連絡が無い。何も寄こさないって事は、大丈夫だったって事だろうか。
さすがに演奏会から1週間も経ってるから、こちらから連絡を入れる。
「シェリル。俺、エリックだけど」
「あ、エリック」
「あれから」
「あ」
シェリルが口をつぐんだ。
「もしかして」
「ご、ごめんなさい。予定日過ぎてもこなくて。でも、演奏会で狂ったのかと思って、まだ」
「かなり遅れてるのか?」
「…はい」
「検査薬は買った?」
「はい」
「なら、直ぐ調べて。これから会えるか?」
「はい」
シェリルの家の傍のカフェで待ち合わせた。俺がコーヒーを飲んでいたらシェリルが来た。
「エリック、お待たせしました」
「いや」
シェリルが頼んだのが運ばれてきてから、本題に入る。
「シェリル、それで?」
ストローを動かしてた指を止めて、シェリルが俺を見た。
「陽性でした」
審判が下された。
「シェリルはどうしたい?」
「まだはっきりとした訳じゃないから。もう少ししてから調べれば陰性かもしれないし」
「いや。多分、正しいと思う。予定日より1週間は経ってるだろ?」
「はい」
「それに、あれから2週間は経ってる」
日数を数えるのに祥子の誕生日からっていうのも皮肉なものだ。
「はい」
「明日、病院に行こう。少し離れた病院がいいね」
「…はい」
「シェリルはどうしたい?」
「どうする?」
「産みたいのか、そうでないか。俺としては、できれば」
堕ろして欲しいと、はっきり言えない。それこそ男のエゴになってしまう。責任は取らなくてはならない。ただ、シェリルはまだ学生だから、本人が堕ろしたいと望めば。
「私、産みたい。愛してる人の子供だから」
「…そうか。分かった」
「エリックは子供を認めてくれればいいです。結婚は無理ならそれでも」
「子供には父親が必要だ。俺が、父親なんだから。でも、シェリル。君を愛するのに時間がかかる」
「苅谷さんですね」
「そうだ。今は彼女を愛してるから」
「エリック、ごめんなさい。私が拒めばこんな事にはならなかった」
「過ぎた事を後悔しても始まらないんだ」
俺は祥子を諦める。
俺が起こした責任だ。シェリルともいい家庭を築けるよう努力しよう。シェリルを愛して。
「シェリル」
「何?」
「もし、俺が君の事を愛せなかったら?」
「それでもいいです。私はエリックの事、愛してますから」
「…そう」
シェリルも受け止めてるんだ。なら、そうすべき事なんだな。彼女の日常を壊した償いだ。
翌日、病院で「おめでとうございます」を言われた。
☆
祥子に全てを話さなきゃならない。
昨日、ウィーンに戻って来たって連絡を貰った。今日は時差ボケを治すって休みを貰ってる。
夜、シドの家に行った。祥子に門を開けて貰った。俺を見て嬉しそうに笑い、探す様に顔を動かした。
「コーダの散歩じゃないのね」
「今日は祥子に大事な話があって」
「大事な話? 私のお土産話とどっちが大事?」
祥子の話のほうを聞いていたい。だが。
「悪い。俺の話を聞いて欲しい」
「分かったわ。どうぞ」
「…」
改めて言われると話しづらくなる。話が切り出せない。
「エリック、どうしたの?」
俺は目の前に居る祥子を悲しませなきゃならない。
「祥子、ごめん」
「なあに? 最近、エリックったら謝ってばかりね。悪い事してたの?」
「そうなる」
「え?」
驚いた祥子の顔が俺を覗き込む。俺は眼を閉じ、大きく深呼吸をしてから祥子の顔を見る。
「シェリルに赤ちゃんが出来た」
そう言ったら、祥子は「なんだ」というように緊張を解いた。
「あら。それはおめでたいわ。まだ学生だったよね」
「祥子、聞いてくれ。その子供は、俺の子なんだ」
「俺の子?」
冗談を聞いたように祥子が繰り返し、もう一度繰り返す。
「俺の? あなた?」
祥子が口に手を当てて俺を刺すように見た。
「エリック…嘘でしょ?」
「本当だ」
「…嘘」
「シェリルのお腹には俺との子供が居る」
これで終わりだ。あとは祥子が問う事に正直に答えるだけだ。
なのに、祥子の口から出てきたのは、俺が予想してた問いじゃなかった。祥子が俺の腕を強く掴む。
「私、私のどこがいけなかったの?!」
こう聞かれるとは思わなかった。胸が痛んだ。祥子は泣き出しそうな顔で俺を見る。
「祥子はどこも悪くないんだ。祥子は俺にとって最高の女性だ。離したくない女性だ。なのに、俺が、俺が悪いんだ」
祥子が背中を向ける。
「いつそんな事を」
「祥子の誕生日だったのを知る前」
祥子の肩が揺れた。
「シェリルとは知り合いだったの?」
「シェリルとは練習で初めて会った」
「隠れて付き合ってたの?」
「俺が付き合ってるのは祥子だけだ」
「なら、…どうして?」
「飲みすぎて、祥子の香りがして間違って」
祥子の両手が顔を覆う。
「祥子、ごめん。俺は」
「もう聞きたくないわ」
「シェリルは学生だから、堕ろすかと」
俺が言い終わる前に、祥子が両手を離して俺を見た。涙が落ちる。
「赤ちゃんに罪は無いのよ!」
そう言って顔を地面に向けた。
「命を刈り取るのはイケナイ事よ。切実な理由が無い限り」
「あぁ。…だから俺はシェリルと居なきゃならない」
「分かった。エリック、今迄ありがとう。幸せ…だったわ」
「祥子、…さよなら」
「さよなら…エリック」
祥子と俺の間で門が閉まった。
これで、俺と祥子の関係は終わった。そんな決定的瞬間だった。
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