第68話 美への願い(3)

文字数 843文字

 神社を後にしてから、数日後。麗香の容姿に変化が起きていた。

 何もしていないのに目が二重になっていた。寝不足の時はよくある事ですぐ一重に戻っていた。どうせすぐ元通りになるだろうと思ったが、一日たっても二重ラインは消えず、定着してしまったようだった。

 それだけでなく、ほうれい線も薄くなったり、白髪も勝手に消えるようになっていた。まつ毛も濃くなり、憂鬱な作業だったメイクが、毎日楽しくなってきた。食欲も無くなり、ダイエットにも成功してしまったようだった。

「麗香さん、ちょっと綺麗になってません?」

 結婚相談所の担当者にも、少し褒められるようになってしまった。会社の部下、コンビニ店員などにも「綺麗になった?」と言われるようになってしまった。

 そう言われれば少しは自信がつき、態度も堂々としてきた。婚活でも公務員などにも声をかぇられるようになっていた。

 これは神社の効果だと認めざるおえない。整形や努力無しで綺麗になってしまった理由は、それ以外考えられない。

 しかし、褒められると欲が出てきた。雑誌の中にいる美魔女のモデルなんかを見ると、ギリギリと嫉妬したくなってきた。今までは感じて事の無い気持ちだった。確かに上には上がいる事は認めざるおえない。

 麗香は再びあやかし神社の出向き、もっと綺麗にして欲しいと願った。

 すると、突然光に包まれ、美魔女に美しくなった。まるで、魔法をかけられたシンデレラみたいだった。

 アラフォー向けのファッション雑誌の読者モデルに決まったり、美容系インフルエンサーとしてSNSでのフォロワーも増えていった。読者モデルをしていると、上には上がいる事に気づく。

 もっと綺麗にならなくちゃ。いつの間にか義務感でメイクをしていたが、誰かに負けるわけにはいかない。

 そんな麗香は、いつの間にか「高嶺の花」になってしまい、男性から声をかけられる事も少なくなってきた。相変わらず婚活は上手くいかなかったが、とにかく誰かより美しくなれれば、それで良かった。

 めでたし、めでたし?
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登場人物紹介

悪魔

あやかし神社の主。人間の記憶を食い幽霊のフリ、天使、動物やイケメンのフリをして人間を騙している。ヤクザのように願いの代償を請求する。聖書の神様に敵対。

悪霊

悪魔の手先。人間の心に棲みつく実行部隊。あやかし神社では眷属のフリをしている。

聖書

悪魔と人間が結んだ契約を破棄する鍵…?

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