第40話 許しの願い(3)
文字数 1,312文字
羽純は図書館で、死んだ人間を上手く供養する方法を調べていた。その目は充血し、とても女子高生に見えないぐらい疲れきってきた。
詳しい事はわからないが、こういって恨みを持ちながら死んでいった人間は、災いを引き起こす存在らしい。災いを止める為に、昔の人は死んだ人を神として祀り、神社も作ったそうだった。
この災いを止める為に、神社を作るしか無いのだろうか。
もともと現実主義者で、目に見えないものなど信じない羽純だが、こうなってしまってからでは、対策する他ない。
人間いくら進化を遂げていても、やっぱり死が怖い。死んだ後はどうなるかなんて誰も教えてくれない。
死んだ人間はどうなるのかも図書館で調べてみたが、どこにも書いていなかった。
「そうか、異世界転生……」
風子がそんなような事をいっていたのを思い出し、異世界転生のライトノベルを図書館の棚から引き抜いて読んでみた。
話の内容は楽しかったが、碧子が異世界転生しているとは、どうしても考えられなかった。こんな本を読めば読むほど、目眩しをされているようか感覚を味わった。
「は!? 神社作るん? 羽純、何言ってるのー?」
しかし、このまま放っておく事もできず、神社を作る事に決めた。調べるとヲタク向けの推し
活グッズで、祭壇や本殿は作れるみたいだった。
この分野に詳しそうな風子と一緒に100円均一に来ていた。推し活動グッズは色々あり、紙で祭壇を作り、中央に写真をはめるものもある。これだったら、それっぽいものはできそうだった。
神社を作るなんて言う自分に風子は、大笑いしていたが、本気だった。鳥居や手水舎のミニチュアも売ってあり、100円均一の素材だけで神社は作れそうだった。
さっそく自分の部屋に、碧子を崇める神社を作り始めた。
箱庭のケースに、プラスチックの石を敷き詰め、鳥居や手水舎を配置していく。
最後に紙でできた本殿を配置する。その中心部には碧子の写真をはめ込んだ。こうしてミニチュアの神社が完成した。
「碧子、ごめんなさい。許してください。許してください。あなたは神です」
羽純はミニチュア神社の前にひれ伏し、謝罪し続けた。
本当は碧子ではなく、もっと別の存在に謝った方が良い気もしていた。しかし、そんな存在は考えてもよくわからなかった。とにかく胸に罪悪感がたまり、誰かに許されたかった。
『委員長』
そこに碧子の幽霊が現れた。今日の表情は、慈悲深く、まるで聖母マリアのように見えてしまった。
「ごめんね、碧子。ああ、虐められていたのに、助けてあげられなくて」
『許して、あげる……』
小さな声だったが、確かに聞こえた。
その後、不思議な事が起きた。親の病気が治り、弟のいじめもピタリと止まった。母が宝くじを当て、家は前よりも綺麗で豪華になった。
「碧子神様、受験に合格させてください」
羽純はあのミニチュア神社の前で、祈っていた。こうすると、なぜか願いが叶うからだ。
やっぱり死んだ人を崇めて神様にすると、良い事があるようだった。
受験に合格し、羽純は自分の思う通りに願いを叶えていった。死ぬと人は神になれるのかもしれない。それは異世界転生より夢がある。
めでたし、めでたし?
詳しい事はわからないが、こういって恨みを持ちながら死んでいった人間は、災いを引き起こす存在らしい。災いを止める為に、昔の人は死んだ人を神として祀り、神社も作ったそうだった。
この災いを止める為に、神社を作るしか無いのだろうか。
もともと現実主義者で、目に見えないものなど信じない羽純だが、こうなってしまってからでは、対策する他ない。
人間いくら進化を遂げていても、やっぱり死が怖い。死んだ後はどうなるかなんて誰も教えてくれない。
死んだ人間はどうなるのかも図書館で調べてみたが、どこにも書いていなかった。
「そうか、異世界転生……」
風子がそんなような事をいっていたのを思い出し、異世界転生のライトノベルを図書館の棚から引き抜いて読んでみた。
話の内容は楽しかったが、碧子が異世界転生しているとは、どうしても考えられなかった。こんな本を読めば読むほど、目眩しをされているようか感覚を味わった。
「は!? 神社作るん? 羽純、何言ってるのー?」
しかし、このまま放っておく事もできず、神社を作る事に決めた。調べるとヲタク向けの推し
活グッズで、祭壇や本殿は作れるみたいだった。
この分野に詳しそうな風子と一緒に100円均一に来ていた。推し活動グッズは色々あり、紙で祭壇を作り、中央に写真をはめるものもある。これだったら、それっぽいものはできそうだった。
神社を作るなんて言う自分に風子は、大笑いしていたが、本気だった。鳥居や手水舎のミニチュアも売ってあり、100円均一の素材だけで神社は作れそうだった。
さっそく自分の部屋に、碧子を崇める神社を作り始めた。
箱庭のケースに、プラスチックの石を敷き詰め、鳥居や手水舎を配置していく。
最後に紙でできた本殿を配置する。その中心部には碧子の写真をはめ込んだ。こうしてミニチュアの神社が完成した。
「碧子、ごめんなさい。許してください。許してください。あなたは神です」
羽純はミニチュア神社の前にひれ伏し、謝罪し続けた。
本当は碧子ではなく、もっと別の存在に謝った方が良い気もしていた。しかし、そんな存在は考えてもよくわからなかった。とにかく胸に罪悪感がたまり、誰かに許されたかった。
『委員長』
そこに碧子の幽霊が現れた。今日の表情は、慈悲深く、まるで聖母マリアのように見えてしまった。
「ごめんね、碧子。ああ、虐められていたのに、助けてあげられなくて」
『許して、あげる……』
小さな声だったが、確かに聞こえた。
その後、不思議な事が起きた。親の病気が治り、弟のいじめもピタリと止まった。母が宝くじを当て、家は前よりも綺麗で豪華になった。
「碧子神様、受験に合格させてください」
羽純はあのミニチュア神社の前で、祈っていた。こうすると、なぜか願いが叶うからだ。
やっぱり死んだ人を崇めて神様にすると、良い事があるようだった。
受験に合格し、羽純は自分の思う通りに願いを叶えていった。死ぬと人は神になれるのかもしれない。それは異世界転生より夢がある。
めでたし、めでたし?
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