第67話 美への願い(2)
文字数 1,986文字
活パーティーの会場を後にした麗香は、駅ビルの中にあるコスメショップを見ていた。プチプラでアラフォーの麗香には、少々安っぽいコスメが並んでいるが、ちょっと気になってしまった。中には目を二重にする化粧品もあるらすい。整形みたいだと思うが、やっぱり二重の方が可愛いのかなどと考えてしまう。もう若くもないのに、こんなの容姿の事ばかり考えてしまうののも情け無くなってきた。やっぱり婚活は、何か心を病ませるものがあるらしい。
だんだんとと鬱鬱とした思考になっていくのがわかる。「魔女」の呪いは、強力のようだった。思えば言葉に限っては、女性の方がキツい人が多いと思う。パッとしない容姿の麗香だが、婚活パーティーで男性から「ブス」と言われた事はさすがに無い。一方、女性からは何度も言われていた。かくいう麗香も鈍臭い部下には、キツく言ってしまう事があった。女性は、なぜこんなに言葉が強い傾向にあるのか。麗香はよくわからない。
「はぁー。帰るか」
麗香は、いつまでもコスメショップに居ても仕方がないと思い、家に帰る事にした。結婚相談所の担当者に選んで貰った女子アナのようなファッションに身を包んでいたが、どうも落ち着かない。自分で無いような感覚を味わっていた。
家までトボトボと歩いていたが、やっぱり変な事ばかり考えてしまう。やっぱり美人は得だとか、自分は救いようがないブスなんじゃないのかかとか。ファッション雑誌の中にある美魔女のようになれば、婚活もうまくいくのかもしれないとか。
「チラシ配ってまーす! 受け取ってください!」
そこにキラキラの笑顔の女性が近づいてきた。年齢は50歳ぐらいだが、化粧っけはなく、シンプルな白シャツにジーンズという格好も似合っていた。肌は雪のように真っ白で、そこがかなり特徴的だった。
「ど、どうも」
女性の絵笑顔におされ、チラシを受け取る。どうもキリスト教会が配っているチラシのようだった。伝統的なキリスト教会のようで、カルトでは無いらしい。なぜか「神社仏閣、スピリチュアルで困った事がある方はご相談ください」という一文の載っていた。
どういう事かと聞こうとしたが、元々こんな宗教には興味はないし、チラシはカバンの中へしまった。あの女性の肌の白さだけは気になり、秘訣でも聞けば良かったとも後悔したが、また、鬱鬱とした思考が戻ってきた。
「やっぱり自分はブスなのかな……」
そう思った時、目の前に神社がある事に気づいた。家の近所に神社があるとは知らなかった。木々に覆われて、公園のような雰囲気だったが、麗香はこういったものには興味が無いのでスルーしていた。
ふと、婚活仲間の友達が縁結びの神社に行って、良い相手が見つかった事を話していたのを思い出した。婚活仲間はパワースポットやスピリチュアルにハマっている人も多かった。中には何百万円もかけているものもいて、ちょっと怖いのでスルーしていたが、公園のような雰囲気の神社は、ちょっと惹かれるものがあった。ちょっと休んで参拝するぐらいだったら、悪くない気もしてきた。
麗香はさっそく、神社の鳥居をくぐった。あやかし神社という変な名前の神社だったが、そんなもんだろうと思った。
鳥居をくぐると、縁結びの女神像が置いてあった。触るとご利益があるらしく、女神のお腹はハゲかけていた。
理由はよくわからないが、女神は身体を蛇にぐるぐる巻きにされ、片手に林檎を持っていた。そういえば神社には蛇や龍神を祀っている所が多いが、何か理由があるのかわからない。インドの旅行に行った時もヒンドゥー教の寺院でも蛇が飾ってあった。蛇なんて見た目も良くないのに、昔の人はなぜ信仰対象にしていたのだろうか。その点はよくわからなかった。
とりあえず女神像を触ってみたが、別にすぐ縁が結ばれるような事は無いようだった。
木々はざわめき、小鳥の鳴き声が響く。休日の昼下がりに神社参拝をする人は他に居ないようで、静かだった。社務所も閉まっていて、お守りなどは購入出来ないようだった。
仕方がないので、おもくじだけ引いてみた。恋みくじらしく、チャームもおまけで入っているらしい。
「中吉。身の回りにいる女性に注意」
おみくじの結果は微妙ばなもので、麗香は顔を顰める。確かに今までの人生では、周りにいる女性が意地悪な人が多かった。「魔女」のような女性の顔を思い出すと、いい気分はしない。
とりあえず本堂の方に出向き、小銭を賽銭箱に入れた。鈴を鳴らすのを忘れて、あわててガラガラと音をたてる。
「美人になりたいです。ブスとは言われたくないです」
こんな願い事で叶うだろうか。首を捻るが、とりあえず、おみくじを木に結び、神社を後にした。
『これでも拝んでたし、契約しちゃおー』
どこからか男の声が響いていたが、木々のざわめきにかき消された。気のせいだったのかもしれない。
だんだんとと鬱鬱とした思考になっていくのがわかる。「魔女」の呪いは、強力のようだった。思えば言葉に限っては、女性の方がキツい人が多いと思う。パッとしない容姿の麗香だが、婚活パーティーで男性から「ブス」と言われた事はさすがに無い。一方、女性からは何度も言われていた。かくいう麗香も鈍臭い部下には、キツく言ってしまう事があった。女性は、なぜこんなに言葉が強い傾向にあるのか。麗香はよくわからない。
「はぁー。帰るか」
麗香は、いつまでもコスメショップに居ても仕方がないと思い、家に帰る事にした。結婚相談所の担当者に選んで貰った女子アナのようなファッションに身を包んでいたが、どうも落ち着かない。自分で無いような感覚を味わっていた。
家までトボトボと歩いていたが、やっぱり変な事ばかり考えてしまう。やっぱり美人は得だとか、自分は救いようがないブスなんじゃないのかかとか。ファッション雑誌の中にある美魔女のようになれば、婚活もうまくいくのかもしれないとか。
「チラシ配ってまーす! 受け取ってください!」
そこにキラキラの笑顔の女性が近づいてきた。年齢は50歳ぐらいだが、化粧っけはなく、シンプルな白シャツにジーンズという格好も似合っていた。肌は雪のように真っ白で、そこがかなり特徴的だった。
「ど、どうも」
女性の絵笑顔におされ、チラシを受け取る。どうもキリスト教会が配っているチラシのようだった。伝統的なキリスト教会のようで、カルトでは無いらしい。なぜか「神社仏閣、スピリチュアルで困った事がある方はご相談ください」という一文の載っていた。
どういう事かと聞こうとしたが、元々こんな宗教には興味はないし、チラシはカバンの中へしまった。あの女性の肌の白さだけは気になり、秘訣でも聞けば良かったとも後悔したが、また、鬱鬱とした思考が戻ってきた。
「やっぱり自分はブスなのかな……」
そう思った時、目の前に神社がある事に気づいた。家の近所に神社があるとは知らなかった。木々に覆われて、公園のような雰囲気だったが、麗香はこういったものには興味が無いのでスルーしていた。
ふと、婚活仲間の友達が縁結びの神社に行って、良い相手が見つかった事を話していたのを思い出した。婚活仲間はパワースポットやスピリチュアルにハマっている人も多かった。中には何百万円もかけているものもいて、ちょっと怖いのでスルーしていたが、公園のような雰囲気の神社は、ちょっと惹かれるものがあった。ちょっと休んで参拝するぐらいだったら、悪くない気もしてきた。
麗香はさっそく、神社の鳥居をくぐった。あやかし神社という変な名前の神社だったが、そんなもんだろうと思った。
鳥居をくぐると、縁結びの女神像が置いてあった。触るとご利益があるらしく、女神のお腹はハゲかけていた。
理由はよくわからないが、女神は身体を蛇にぐるぐる巻きにされ、片手に林檎を持っていた。そういえば神社には蛇や龍神を祀っている所が多いが、何か理由があるのかわからない。インドの旅行に行った時もヒンドゥー教の寺院でも蛇が飾ってあった。蛇なんて見た目も良くないのに、昔の人はなぜ信仰対象にしていたのだろうか。その点はよくわからなかった。
とりあえず女神像を触ってみたが、別にすぐ縁が結ばれるような事は無いようだった。
木々はざわめき、小鳥の鳴き声が響く。休日の昼下がりに神社参拝をする人は他に居ないようで、静かだった。社務所も閉まっていて、お守りなどは購入出来ないようだった。
仕方がないので、おもくじだけ引いてみた。恋みくじらしく、チャームもおまけで入っているらしい。
「中吉。身の回りにいる女性に注意」
おみくじの結果は微妙ばなもので、麗香は顔を顰める。確かに今までの人生では、周りにいる女性が意地悪な人が多かった。「魔女」のような女性の顔を思い出すと、いい気分はしない。
とりあえず本堂の方に出向き、小銭を賽銭箱に入れた。鈴を鳴らすのを忘れて、あわててガラガラと音をたてる。
「美人になりたいです。ブスとは言われたくないです」
こんな願い事で叶うだろうか。首を捻るが、とりあえず、おみくじを木に結び、神社を後にした。
『これでも拝んでたし、契約しちゃおー』
どこからか男の声が響いていたが、木々のざわめきにかき消された。気のせいだったのかもしれない。
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