第6話 健康の願い(1)
文字数 1,084文字
「うぅ……」
麻生愛美は、蒼い顔をしながら保健室にかけこんだ。
17歳になる女子高生だが、健康には全く恵まれていない。
「またなの? 麻生さん」
保健室の先生は呆れているが、様子を見てベッドに寝かせてくれた。
ベッドに横たわると、心底ホッとした。朝の朝礼で、校長の話を聞いている時、具合が悪くなった。朝は本当に辛い。毎日、具合が悪いと言っていい。
愛美の身体は、朝だけでなく、試験や旅行、体育祭や文化祭などの行事がある時も、悲鳴をあげる時が多かった。おかげで成績も悪いし、学校行事を一度も楽しんだ事はない。
特に試験の時は、重い生理痛になる時が多かった。初潮の時から、お腹が割れるような激痛がして立っていられない。
病院にも毎週のように通っていたが、特にこれといった原因はわからず、漫然と効き目の弱い薬を何種類か飲んでいた。
寝ていると具合が良くなってきたので、保健室の先生に声をかけて教室に帰る事にした。
「麻生さん、これだけ原因不明の体調不良があるには、メンタル面が原因かもよ? メンタルクリニックに行ったらどう?」
そんなアドバイスもされてしまった。
「だって女子高生ぐらいの元気な時に、原因と考えられるのは、メンタル面しかないでしょう。一度メンタルクリニックに行くことも考えた方がいいかも」
「考えてみます」
昼休み、スマホをいじり、メンタルクリニックを調べてみたが、なかなか信用できなかった。特に精神科医の薬は副作用がひどく、何年も薬漬けになってしまう人も少なくないらしい。海外では脱抗うつ薬もしているようで、日本だけが遅れをとっているらしい。テレビに出ているような精神科医のブログでも、そんな指摘がされていた。また、こうやって精神疾患患者を過剰に病人扱いする事も、社会の歪み。そんな社会の方が病んでいて障害だと締めくくられていた。
そんな文章を読むと、やっぱりメンタルクリニックには行きたくない。
食欲もなくなり、購買で買ったあんぱんと牛乳はほとんど残してしまった。親は共働きで忙しく、弁当や夕飯は菓子パンやラーメンである事が多かった。こんな食生活も体調不良の原因の一つとも思うが、自分で料理なんてとても出来ないし、最近は完全栄養食というカップラーメンなども販売されている。食べてもすぐに大きな問題もないし、これだけが原因とは思いたくなかった。
愛美は、キャーキャー騒いでいる同級生達を見た。みんな元気そうで羨ましかった。
「魔法みたいに元気な身体になればいいのに」
そう呟いた直後、お腹が痛くなってきた。
もう、嫌だ! こんな身体は!
そう叫びたくなってしまった。
麻生愛美は、蒼い顔をしながら保健室にかけこんだ。
17歳になる女子高生だが、健康には全く恵まれていない。
「またなの? 麻生さん」
保健室の先生は呆れているが、様子を見てベッドに寝かせてくれた。
ベッドに横たわると、心底ホッとした。朝の朝礼で、校長の話を聞いている時、具合が悪くなった。朝は本当に辛い。毎日、具合が悪いと言っていい。
愛美の身体は、朝だけでなく、試験や旅行、体育祭や文化祭などの行事がある時も、悲鳴をあげる時が多かった。おかげで成績も悪いし、学校行事を一度も楽しんだ事はない。
特に試験の時は、重い生理痛になる時が多かった。初潮の時から、お腹が割れるような激痛がして立っていられない。
病院にも毎週のように通っていたが、特にこれといった原因はわからず、漫然と効き目の弱い薬を何種類か飲んでいた。
寝ていると具合が良くなってきたので、保健室の先生に声をかけて教室に帰る事にした。
「麻生さん、これだけ原因不明の体調不良があるには、メンタル面が原因かもよ? メンタルクリニックに行ったらどう?」
そんなアドバイスもされてしまった。
「だって女子高生ぐらいの元気な時に、原因と考えられるのは、メンタル面しかないでしょう。一度メンタルクリニックに行くことも考えた方がいいかも」
「考えてみます」
昼休み、スマホをいじり、メンタルクリニックを調べてみたが、なかなか信用できなかった。特に精神科医の薬は副作用がひどく、何年も薬漬けになってしまう人も少なくないらしい。海外では脱抗うつ薬もしているようで、日本だけが遅れをとっているらしい。テレビに出ているような精神科医のブログでも、そんな指摘がされていた。また、こうやって精神疾患患者を過剰に病人扱いする事も、社会の歪み。そんな社会の方が病んでいて障害だと締めくくられていた。
そんな文章を読むと、やっぱりメンタルクリニックには行きたくない。
食欲もなくなり、購買で買ったあんぱんと牛乳はほとんど残してしまった。親は共働きで忙しく、弁当や夕飯は菓子パンやラーメンである事が多かった。こんな食生活も体調不良の原因の一つとも思うが、自分で料理なんてとても出来ないし、最近は完全栄養食というカップラーメンなども販売されている。食べてもすぐに大きな問題もないし、これだけが原因とは思いたくなかった。
愛美は、キャーキャー騒いでいる同級生達を見た。みんな元気そうで羨ましかった。
「魔法みたいに元気な身体になればいいのに」
そう呟いた直後、お腹が痛くなってきた。
もう、嫌だ! こんな身体は!
そう叫びたくなってしまった。
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