第22話 復縁の願い(1)
文字数 1,726文字
雨野繭子は、自分の事を疫病神だと思う時があった。悪い言葉といえばサゲマンというやつだ。
幼稚園の時の初恋の男子は、家が火事になり、顔に大きな火傷を負っていた。
小学生の時の片思いの相手は、変質者に襲われて精神病院に入院していた。
中学の時に初めて付き合った先輩は、旅行先で事故にあって死んだ。
高校の時に追いかけていたビジュアル系バンドマンは、ストーカーに刺されて死んだ。
看護学校に進学した時は、勉強で忙しくて、そういった事はなかった。看護師になり就職した後、ちょっとイケメンだなぁと思った外科医が、急に発作を起こして倒れた。
ちょっとでも自分が好きになる異性は、不幸になるらしい。芸能人レベルでもダメで、ちょっと顔がいいと思ったモデルが、翌日自殺したというニュースを聞い事もあった。
念が強いのかもしれない。重い女だとよく言われていた。好きになると、ずっとその人一色になってしまう。相手に何でも合わせてしまう。時々高いプレゼントなどを上げて貢いでしまう。
もう恋愛なんてしない。看護師の仕事を頑張ろうと思っていた時だった。
妹から紹介された三島敬哉という男性と付き合う事になった。敬哉はIT企業に勤めるエリートサラリーマンだった。顔もよく、知識も豊富で会話も楽しい男だった。
もう恋愛をしないと誓った繭子だったが、彼の姿を見て一目惚れしてしまった。運命を感じてしまった。ダメだと思いつつも、彼のことばかり考えていた。
敬哉のSNSのチェックはもちろん、携帯も調べていた。時々、会社帰りに後をつけつ事もあった。立派なストーカー行為であるが、我慢できない。敬哉はモテるので、行動の一つ一つが気になる。
「お姉ちゃん、そんなストーカーみたいな事やめなって。生霊みたいの飛ばしてない? 怖いよ」
妹は呆れれていた。
「っていうか念が強いんだよ。変なお呪いとかするのは、やめて。ちょっと怖いから」
繭子は、お呪いが好きだった。我ながら酷い趣味だと思うが、子供の頃に読んだ少女漫画にお呪いの方法が載っていて、それがきっけだった。お呪いの本は、可愛らしい魔女のイラストつきのものが多く、 特に罪悪感はない。なぜ「お呪い」という言葉は、「呪い」というマイナスな言葉が入っているのか、よくわからないが。白魔術的なお呪いは問題あるように見えないが。
最初は消しゴムに名前を書き、 それを使い切る事で叶えるお呪いが好きだった。だんだんとエスカレートし、呪文やお札を使うお呪いをやるようになった。
いつも恋愛の願いをかけていたが、何故かそれは、上手くいかない。逆に大して願ってもいないお金や勉強の願いがあっさり叶う。看護師の勉強は大変でたまにサボっていたが、なんとか資格も取れたりしていた。宝くじで高額当選した事もあった。親に全額取られてしまったが。
しかし、繭子が願う恋愛の願いは一つも叶わない。それどころか、逆の結果になる。確かに彼氏ができるまでに限っては、あっさり出来るのだが、その後が難しい。相手は不幸になり、まるで自分が疫病神のような状況になってしまう。
「あのさ、繭子。そんなに執着されるとしんどいんだけど」
結局、敬哉にも振られた。ネットで配信している女と新しく付き合い始めるらしい。
どいいう事?
こんな事は初めてだった。いっその事、敬哉が不幸になった方が良いと思うぐらいだった。
「そっかー。仕方ないね」
口では物分かりが良いフリをしていが、内心は腑が煮えくりかえっていた。
不幸になればいいのに。
そんな事すら思うぐらいだった。お呪いでは、他人の不幸を願うのは禁止された事だったが、ナチュラルにそう思ってしまった。
まさか敬哉は死ぬわけがないと思っていた。最近は、お呪いの効果も全くなく、自分は超能力など無いと悟っているところだった。ある日敬哉は、トラックに轢かれて死んでしまった。繭子の厄病神っぷりは、もう否定できない。
敬哉が死んだ今では、彼と復縁したくてたまらなかった。きっとあれ以上にスペックが良い男とは出会えない気がした。
お呪いで死んだ人を生きかえらせる事は可能だろうか。ネットにその答えがある気がした。繭子は、連日寝不足になりながら調べていた。
幼稚園の時の初恋の男子は、家が火事になり、顔に大きな火傷を負っていた。
小学生の時の片思いの相手は、変質者に襲われて精神病院に入院していた。
中学の時に初めて付き合った先輩は、旅行先で事故にあって死んだ。
高校の時に追いかけていたビジュアル系バンドマンは、ストーカーに刺されて死んだ。
看護学校に進学した時は、勉強で忙しくて、そういった事はなかった。看護師になり就職した後、ちょっとイケメンだなぁと思った外科医が、急に発作を起こして倒れた。
ちょっとでも自分が好きになる異性は、不幸になるらしい。芸能人レベルでもダメで、ちょっと顔がいいと思ったモデルが、翌日自殺したというニュースを聞い事もあった。
念が強いのかもしれない。重い女だとよく言われていた。好きになると、ずっとその人一色になってしまう。相手に何でも合わせてしまう。時々高いプレゼントなどを上げて貢いでしまう。
もう恋愛なんてしない。看護師の仕事を頑張ろうと思っていた時だった。
妹から紹介された三島敬哉という男性と付き合う事になった。敬哉はIT企業に勤めるエリートサラリーマンだった。顔もよく、知識も豊富で会話も楽しい男だった。
もう恋愛をしないと誓った繭子だったが、彼の姿を見て一目惚れしてしまった。運命を感じてしまった。ダメだと思いつつも、彼のことばかり考えていた。
敬哉のSNSのチェックはもちろん、携帯も調べていた。時々、会社帰りに後をつけつ事もあった。立派なストーカー行為であるが、我慢できない。敬哉はモテるので、行動の一つ一つが気になる。
「お姉ちゃん、そんなストーカーみたいな事やめなって。生霊みたいの飛ばしてない? 怖いよ」
妹は呆れれていた。
「っていうか念が強いんだよ。変なお呪いとかするのは、やめて。ちょっと怖いから」
繭子は、お呪いが好きだった。我ながら酷い趣味だと思うが、子供の頃に読んだ少女漫画にお呪いの方法が載っていて、それがきっけだった。お呪いの本は、可愛らしい魔女のイラストつきのものが多く、 特に罪悪感はない。なぜ「お呪い」という言葉は、「呪い」というマイナスな言葉が入っているのか、よくわからないが。白魔術的なお呪いは問題あるように見えないが。
最初は消しゴムに名前を書き、 それを使い切る事で叶えるお呪いが好きだった。だんだんとエスカレートし、呪文やお札を使うお呪いをやるようになった。
いつも恋愛の願いをかけていたが、何故かそれは、上手くいかない。逆に大して願ってもいないお金や勉強の願いがあっさり叶う。看護師の勉強は大変でたまにサボっていたが、なんとか資格も取れたりしていた。宝くじで高額当選した事もあった。親に全額取られてしまったが。
しかし、繭子が願う恋愛の願いは一つも叶わない。それどころか、逆の結果になる。確かに彼氏ができるまでに限っては、あっさり出来るのだが、その後が難しい。相手は不幸になり、まるで自分が疫病神のような状況になってしまう。
「あのさ、繭子。そんなに執着されるとしんどいんだけど」
結局、敬哉にも振られた。ネットで配信している女と新しく付き合い始めるらしい。
どいいう事?
こんな事は初めてだった。いっその事、敬哉が不幸になった方が良いと思うぐらいだった。
「そっかー。仕方ないね」
口では物分かりが良いフリをしていが、内心は腑が煮えくりかえっていた。
不幸になればいいのに。
そんな事すら思うぐらいだった。お呪いでは、他人の不幸を願うのは禁止された事だったが、ナチュラルにそう思ってしまった。
まさか敬哉は死ぬわけがないと思っていた。最近は、お呪いの効果も全くなく、自分は超能力など無いと悟っているところだった。ある日敬哉は、トラックに轢かれて死んでしまった。繭子の厄病神っぷりは、もう否定できない。
敬哉が死んだ今では、彼と復縁したくてたまらなかった。きっとあれ以上にスペックが良い男とは出会えない気がした。
お呪いで死んだ人を生きかえらせる事は可能だろうか。ネットにその答えがある気がした。繭子は、連日寝不足になりながら調べていた。
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