第24話 復縁の願い(3)

文字数 891文字

 翌朝、あやかし神社の口コミの投稿者からメールが届いているのに気づき、さっそく読んでみた。

 kさんという都内在住のOLだった。あやかし神社の縁切りの願いを依頼したら、契約書が送られてきた。それにサインをしたら、次々と願いが叶ったそう。

 そんな上手い話があるのだろうか。繭子のお呪いも、なかなか上手くいかなかった事もあり、半信半疑だった。

 kさんには、再びメールを送る。願いを叶える代償とか、呪い返しのような事は無いのか?と。

 すぐ返事が返ってきた。「別にないよー。3ヶ月前に依頼したけど、ハッピーでラッキーです!」と。文面からも楽しそうな雰囲気が伝わり、あやかし神社に頼っても良い気がした。さっそく繭子は、あやかし神社に依頼メールを送った。後日、kさんが言ったように契約書が送られてきた。すぐにサインを書き、送り返した日の翌日だった。

「敬哉!」

 家に帰ると、本当に敬哉がいた。付き合っていた頃のように、リラックスした表情でソファに座り、コーヒーを啜っていた。

 幽霊かとも思ったが、実体のある肉体だった。顎にあるホクロも変わらない。繭子もここにホクロがあった。これは運命かもしれない。ソウルメイトで、前世からの運命の再会?

「繭子。俺だよ、俺だ」
「敬哉、生き返ったの?」

 繭子は涙目で言う。しかし、よく似た別人という可能性も捨てきれない。

「本当に三島敬哉?」
「そうだよ。俺だよ」

 敬哉は、繭子と付き合っていた時期の思い出を語り始めた。二人しか知らない情報もあった。SNSやクレジットカードのサイトにもログイン出来たし、間違いなく本人ではないか。

 科学的には、証明できない事だった。死んだ人が生き変えるなんて、誰も信じてくれないだろう。でも、敬哉は幽霊ではなく、確実に目の前にいた。

「敬哉、会いたかったよー」

 抱きしめるが、ちゃんと肉体もあった。匂いや温度もしっかりと伝わってくる。

「三途の川を渡ったけど、繭子に会いたいから戻ってきたよ。繭子、復縁しよう」
「うん! これからもずっと一緒だね!」
「ああ、全て一緒だよ。俺と君は一体だよ」

 繭子は満面の笑みを見せていた。

 めでたし、めでたし?
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登場人物紹介

悪魔

あやかし神社の主。人間の記憶を食い幽霊のフリ、天使、動物やイケメンのフリをして人間を騙している。ヤクザのように願いの代償を請求する。聖書の神様に敵対。

悪霊

悪魔の手先。人間の心に棲みつく実行部隊。あやかし神社では眷属のフリをしている。

聖書

悪魔と人間が結んだ契約を破棄する鍵…?

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