第42話 理想の彼氏の願い(1)
文字数 834文字
「いやー、キュンキュンするよー」
花井彩は、部屋で映画を見ていた。少女漫画を原作にした青春映画だった。地味で冴えないヒロインが、なぜかわからないけれどイケメン生徒会長に溺愛されるシンデレラストーリーな面もあり、彩の心は踊っていた。
彩はもう大学生だが、実家で暮らしていた。部屋には子供時代から使っている大型の机があった。本棚には、少女漫画やライトノベルばかりが詰め込まれ、雑然としていた。テーブルの上はポテトチップスやチョコレートの空箱でぐちゃぐちゃに散らかっていた。
いつも何らかを間食しているので、彩の体型はだらしなかった。メイクや髪もどこか手抜きした雰囲気があった。勉強もあまりできず、バイト先の飲食店では、先輩や店長に毎日怒られ、ストレスも溜まる。そんな彩は、お菓子を食べながら、少女漫画原作の映画を見るのが唯一の息抜きとなっていた。
当然、彼氏もいない。「か」の字もない。告白された事もなく、異性に声をかけられたと思ったら「授業のノート見せて」と言われる事ばかりだった。
そんな彩は、別に彼氏を本気で欲しいわけでもない。友達の話を聞くと、浮気やモラハラ化などしているようで、別に羨ましいとも思えない。彩の父も鬱病で、仕事の休職を繰り返し、男=弱いものという刷り込みもされていた。だったら、映画や漫画の世界だけで夢見心地になった方が楽しい。
昔はそうでもなかったが、漫画やアニメが好きなヲタクも一般市民権を得ている。堂々と娯楽に浸っていても、文句は言われない。コロナという事もあり、家に引きこもっているのは推奨されているぐらいだった。
「ま、映画や漫画に出てくるような理想的なイケメンだったら、付き合ってもいいけど」
彩のルックスや何も努力していない生活態度でそれを言うか?というツッコミは入りそうだったが、やっぱり娯楽の浸っている時は、夢を見てしまう。
「理想の彼氏なら欲しいねー」
映画の世界にいる金髪碧眼の王子様みたいなイケメンを眺めながら、彩は呟いていた。
花井彩は、部屋で映画を見ていた。少女漫画を原作にした青春映画だった。地味で冴えないヒロインが、なぜかわからないけれどイケメン生徒会長に溺愛されるシンデレラストーリーな面もあり、彩の心は踊っていた。
彩はもう大学生だが、実家で暮らしていた。部屋には子供時代から使っている大型の机があった。本棚には、少女漫画やライトノベルばかりが詰め込まれ、雑然としていた。テーブルの上はポテトチップスやチョコレートの空箱でぐちゃぐちゃに散らかっていた。
いつも何らかを間食しているので、彩の体型はだらしなかった。メイクや髪もどこか手抜きした雰囲気があった。勉強もあまりできず、バイト先の飲食店では、先輩や店長に毎日怒られ、ストレスも溜まる。そんな彩は、お菓子を食べながら、少女漫画原作の映画を見るのが唯一の息抜きとなっていた。
当然、彼氏もいない。「か」の字もない。告白された事もなく、異性に声をかけられたと思ったら「授業のノート見せて」と言われる事ばかりだった。
そんな彩は、別に彼氏を本気で欲しいわけでもない。友達の話を聞くと、浮気やモラハラ化などしているようで、別に羨ましいとも思えない。彩の父も鬱病で、仕事の休職を繰り返し、男=弱いものという刷り込みもされていた。だったら、映画や漫画の世界だけで夢見心地になった方が楽しい。
昔はそうでもなかったが、漫画やアニメが好きなヲタクも一般市民権を得ている。堂々と娯楽に浸っていても、文句は言われない。コロナという事もあり、家に引きこもっているのは推奨されているぐらいだった。
「ま、映画や漫画に出てくるような理想的なイケメンだったら、付き合ってもいいけど」
彩のルックスや何も努力していない生活態度でそれを言うか?というツッコミは入りそうだったが、やっぱり娯楽の浸っている時は、夢を見てしまう。
「理想の彼氏なら欲しいねー」
映画の世界にいる金髪碧眼の王子様みたいなイケメンを眺めながら、彩は呟いていた。
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