恵人の編11

文字数 413文字

「若い肉体に乗り移って鍛えると、常識を超えた超人的な肉体を手に入れることが可能になる。どんな世界チャンピオンでも、まったく歯が立たない超人になることができるのだ。走る速さは動物並みだ。心が未熟な子供に、そんな超人の体を与えて社会に出したら、どうなるか、この子が人類の未来そのものを変えてしまうかもしれない恐れがあるのだよ」
 恵人はその説明を耳にして、またびっくりした。そのびっくり度は、車の比ではない。超人になれると聞いて、自分の耳を疑った。ある意味では、他人に乗り移ることよりも、とんでもない衝撃だった。
 サンラーという名前からして、何か変だなと思ったが、仙人は生前、SF映画やアニメオタクだったのだろうか? いくらなんでも、人が本当に超人になるとは、あり得ない話だった。
 やっぱり、いまの話は、仙人じじいのジョークなのか? いや、そうではないようだ。喋った仙人の顔は、ホラや冗談を吹いたのではなく、マジ顔に見えた。
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