恵人の編9
文字数 465文字
賽銭をケチってパチンコ玉を入れやがって、さっき授けた超霊力は、取り消しだ~! と怒り声を飛ばして、すっ飛んで来るかも、との不安が頭に押し寄せてきた。だが考えてみれば、このパチンコ玉は全国のパチンコ店でカモ寄せの旗に書いてある出血大サービスとは年中縁が深い。いってみれば、出血サービスとパチンコ玉は切っても切れないいわば親戚みたいなものだろう、と無理にこじつけをして、まあなんとかなるだろう、と沸き上がる不安に蓋をした。
頭を切り替え、顔を前に向けた。それから見慣れてきた化け物顔がいなくなった寂しさを妙に感じながら、年齢よりも若くなりすぎだろう、と注文をつけたくなる、沢口の偽装の疑念が残る新しい顔に眼をやった。
「はい」
恵人は少年とは思えない老けた声で、いや青年のような声で応じると、頭を切り替えた。
自分の顔もすっかり元に戻れたし、霊界では、何でも有りだと。
疑いの眼はもう仕舞うことにして、雲海の合間から垣間見えている地上に瞳を移した。自分が乗り移る相手を探す眼と、ついでに賽銭箱に入れる硬貨も探す眼を付けて。
頭を切り替え、顔を前に向けた。それから見慣れてきた化け物顔がいなくなった寂しさを妙に感じながら、年齢よりも若くなりすぎだろう、と注文をつけたくなる、沢口の偽装の疑念が残る新しい顔に眼をやった。
「はい」
恵人は少年とは思えない老けた声で、いや青年のような声で応じると、頭を切り替えた。
自分の顔もすっかり元に戻れたし、霊界では、何でも有りだと。
疑いの眼はもう仕舞うことにして、雲海の合間から垣間見えている地上に瞳を移した。自分が乗り移る相手を探す眼と、ついでに賽銭箱に入れる硬貨も探す眼を付けて。