第8章 AVの黒い影 沢口の編

文字数 423文字

 3人は、いや1人の大学生とふたつの霊が、それぞれ興味のある本や雑誌に見入っていた。
 恵人は高速のコンピュータがダウンロードでもするかのように、手にした中学から大学までの参考書を次々と開き続けた。
 その様子を隼人が驚きの眼で見つめていた。
「教科の内容は、だいたい分かりました。大学の授業は、どうにかついていけると思います」
「こ、こいつ、天才ですか?」
 隼人が驚いた声で訊いてきた。
 その口を閉じずに、あんぐりと開けたまま信じられないという眼を付けて、恵人が乗り移った自分の体をまじまじと見つめていた。
 沢口は答えずに、作り笑いで応じた。
 仙人は生き返れる霊力だけでなく、出血大サービスとやらで、人間の潜在能力を全部引き出すことができる霊力を、恵人に与えていた。
 それと仙人は、万が一に備えて、超霊力を封じるための、『特別な霊力』を、自分にも与えていた。
 それは、恵人が悪の手に落ちたとき、その力を封じるためのものだった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み