第4章 宮殿にて 恵人の編1

文字数 488文字

 恵人は、視界いっぱいに広がってきた荘厳な宮殿に見とれながら、速足から普通の速さで歩き出した仙人の後に続いた。
 そして中華風の装飾を施した正門を潜り、観光バス3台を縦列に並べて駐車できそうな間口の大きな玄関に足を踏み入れた。そこにはハリウッドのレッドカーペットでも真似たのだろうか、深紅の絨毯が敷き詰められていて、赤い廊下が奥へと続いていた。
 その絨毯を歩きながらキョロキョロと、天井や両壁の見事な装飾を眺めていた恵人は、「え?」と思わず声を口の中に洩らした。
 絨毯の右端の壁に沿って、不審者の侵入を見張るかのように西遊記の猪八戒や沙悟浄、そして孫悟空と思しき妖怪の置物たちが、おいこら半中学生! とでも言い出しそうなガンを飛ばし、仁王像のように立って睨んでいた。
 3人ともいまにも動き出して、自分をからかいそうなリアルな置物に振り返りつつ歩を進めると、「えー? うそ?」また思わず声を漏らした。
 そのリアルさから、とても作り物だとは思えない、絶対に本物では? と思えるような、あのセーラームーンを連想させるセクシーなコスプレをした美少女の置物が3体並んでいた。

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