第7章 第2の人生 恵人の編

文字数 342文字


 恵人は、隼人の部屋に入った。今日から、自分の部屋になる。児童養護施設の部屋とは比較にならない贅沢すぎる部屋だ。
 その部屋の壁には、アイドルグループのポスターと並んで、同じ姓を意識しているのか、安室奈美恵のポスターも貼られていた。そして恐竜などのフィギアの置物も飾られていて、もうすぐ21になる青年の部屋にしてはどこか幼さを感じさせた。
 それでも久しぶりに味わう温もりと懐かしさが、肌に心に沁みた。家族と暮らしていたときの我が家の楽しい日々が走馬灯のように蘇り、目頭が熱くなった。
「おい、ここは僕の部屋だ。大事に使え。ここで変なことするんじゃないぞ」
 怒ったような声に、恵人は現実に引き戻された。
 声を投げつけた隼人に眼をやると、まだ腹立たしいような眼をして睨んでいた。
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