沢口の編7
文字数 503文字
「1年生です」
恵人が少し躊躇するような顔を浮かべながら答えた。
「こいつは中学校の入学式の前日に、学校の校舎から飛び降りて自殺したんだ」
2人のやり取りに割って入るように首を突っ込んだ沢口は、恵人に眼をやりながら少し戒めた口調で口を挟んだ。
「ははあ、そうすると、やっぱり君は小学生のままで死んだんだよ。だから小学生だ」
今度は、自分で命を絶ったということに反応したのか、蔑視も混ぜたような口調で言い返してきた。
生きたくても生きられない植物人間状態の隼人にとって、どういう理由があったにせよ、自殺したことが許せなかったのだろう。それでいて、自分の体を使って生き返ることができる恵人は腹立たしく、隼人にとっては、あまりにも虫が良すぎる身勝手な少年だと思うのも、しごく当然だろ。
「僕は中学生です」
「いいか、中学に入学してはじめて中学生と言えるんだ。だから君は、中学生なんかじゃない。まだ身分は小学生だ」
「違います。僕は中学生です」
とげのある声を投げてくる隼人に、恵人が少しむきになったような顔をして反論した。
沢口は二人のやり取りを見ていて、どこか似た者同士のように思えてきた。
恵人が少し躊躇するような顔を浮かべながら答えた。
「こいつは中学校の入学式の前日に、学校の校舎から飛び降りて自殺したんだ」
2人のやり取りに割って入るように首を突っ込んだ沢口は、恵人に眼をやりながら少し戒めた口調で口を挟んだ。
「ははあ、そうすると、やっぱり君は小学生のままで死んだんだよ。だから小学生だ」
今度は、自分で命を絶ったということに反応したのか、蔑視も混ぜたような口調で言い返してきた。
生きたくても生きられない植物人間状態の隼人にとって、どういう理由があったにせよ、自殺したことが許せなかったのだろう。それでいて、自分の体を使って生き返ることができる恵人は腹立たしく、隼人にとっては、あまりにも虫が良すぎる身勝手な少年だと思うのも、しごく当然だろ。
「僕は中学生です」
「いいか、中学に入学してはじめて中学生と言えるんだ。だから君は、中学生なんかじゃない。まだ身分は小学生だ」
「違います。僕は中学生です」
とげのある声を投げてくる隼人に、恵人が少しむきになったような顔をして反論した。
沢口は二人のやり取りを見ていて、どこか似た者同士のように思えてきた。