恵人の編3

文字数 349文字

 え? と思わす驚いた声を喉元で発し、瞼を大きく見開いて、その少女を凝視した。
 が少女は、セーラームーンのフィギアのように同じポーズで立っているだけで、もうウインクをしてくれなかった。
 やはり、変な心が強すぎて、目の錯覚でも起こしたのだろうか?
「あの少女たちは?」
「ああ、あれか、普通の置物だ。さあ、いくぞ」
 客人をもてなす言葉ではなく、愛想のない声を返してきた仙人の後ろ姿に、後頭部に疑念の眼を投げつけ、「ほんとかよ? 嘘を吐いているだろう」と疑心と不満の言葉を心で飛ばした。
 だがこれ以上、少女たちのことをしつこく訊いたりすると、下手をすればいきなり怒り出して「やっぱり、おまえを生き返らせるのは、もうやーめた」と、言い出しそうな雰囲気をしていたので、疑念は胸に仕舞うことにした。
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