沢口の編11
文字数 440文字
「恵人、体の中に入れ」
「はい。安室さん、すみません。体の中に入らせていただきます」
おそらくは、隼人の気持ちを察したのだろう。すごく申し訳なさそうな口調で、恵人が了解を求めた。
「え? いや駄目だ! もう入るな!」
まだ頭が沸騰していた隼人が、声と一緒に手も使って制止しようとした。
「いいか。医者に生命維持装置を外されて、心臓が止まって体が死んでしまったら、もう体には入れない。体が生きているうちに目覚めないと、君の体は灰になっちまうぞ」
沢口はいくぶん強い口調で、渋る隼人の顔に声を飛ばした。
「……わかりました。おい、僕の体を粗末に扱うなよ。それが条件だ」
隼人は乗船伺い、船長交代を、渋々承諾した。
「ありがとうございます」
礼を述べた恵人が、急いで体に飛び込んだ。とそのときだった。足音が止まると部屋のドアが開いた。40代後半と思われる男と、40代前半と思われる女に、そして中学生と分かる少女が1人、病室の中にぞろぞろと入ってきた。隼人の父母と妹だった。
「はい。安室さん、すみません。体の中に入らせていただきます」
おそらくは、隼人の気持ちを察したのだろう。すごく申し訳なさそうな口調で、恵人が了解を求めた。
「え? いや駄目だ! もう入るな!」
まだ頭が沸騰していた隼人が、声と一緒に手も使って制止しようとした。
「いいか。医者に生命維持装置を外されて、心臓が止まって体が死んでしまったら、もう体には入れない。体が生きているうちに目覚めないと、君の体は灰になっちまうぞ」
沢口はいくぶん強い口調で、渋る隼人の顔に声を飛ばした。
「……わかりました。おい、僕の体を粗末に扱うなよ。それが条件だ」
隼人は乗船伺い、船長交代を、渋々承諾した。
「ありがとうございます」
礼を述べた恵人が、急いで体に飛び込んだ。とそのときだった。足音が止まると部屋のドアが開いた。40代後半と思われる男と、40代前半と思われる女に、そして中学生と分かる少女が1人、病室の中にぞろぞろと入ってきた。隼人の父母と妹だった。