恵人の編2

文字数 363文字

 自分は宇宙船に乗って地球を飛び立っていないし、しかも宇宙服ではなくTシャツ1枚の姿で、なぜ宇宙空間に浮いているのか? との野暮な疑問を巡らすことよりも、心は感動感激の中に、どっぷりと浸っていた。
 宇宙大好き少年の心を虜にする、ギュッと鷲掴みにする、憧れの光景に喜色満面の笑みを心に浮かべながら、太陽系巡りを優雅に遊覧する旅人にでもなった気分で、壮麗な星々の世界を堪能していた。
 するとそこに、とんでもない邪魔が入った。
 心地よい気分を台無しにする巨大な怪物が突如、現れたのだ。
 土星を離れた直後だった。天の川の右外れで一際目立つように輝いている星が超新星のように大爆発でも引き起こしたのか、眼も開けられぬほどに光輝いた。
 すると、その光の中心から人を掌に乗せられそうな巨人の手がいきなり現れて、目前に迫ってきた。
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