沢口の編6

文字数 401文字

「はあ~、あなた霊ですよね。いまさら霊がサインを貰ってどうするんですか?」
「隼人か。かっこいい名前だな。あの死体。いやごめん。脳死の体に、君の顔に相応しい名前だ。身だしなみを整えれば、イケメンだよ。ま、この俺には負けるが。おっと、俺の名前は沢口光司。こいつの名前は藤原恵人だ。ちなみに、藤原紀香とは親戚ではないそうだ。よろしく」
 沢口は眼に笑みを浮かべたまま、つっけんどんの言葉を返してくる隼人の呆れ顔を無視して、明るい声で恵人を紹介した。
「藤原恵人です。よろしくお願いします」
 恵人も真似たように微笑みを付けて、外見とは似合わない落ち着いた声で挨拶した。
「それと、あの、僕は小学生ではありません。中学生です」
「中学生? 中学生にしては小さいな。声は、大人びて老けているが。何年生だ?」
 今度はとげのある強い口調で訊き返してきた。
 隼人の怒り妬みは当分の間、収まりそうもなかった。

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