恵人の編12

文字数 387文字

 あの火星や土星は、本物だったのか? 夢でも見ていたのではないのか? 
 いやいまでも鮮明に覚えている。あまりにもリアルすぎて、夢に出てくるような世界などではない。いや夢でなくても、いまはバーチャルリアリティーのゴーグルを装着してあらゆる世界を疑似体験できる時代だ。
 その21世紀の時代を象徴するように、この霊界でも現世に後れまいとVRが流行っていて、しかも現世よりも二歩も三歩も先に進んでいて、ゴーグルなしで疑似体験をさせられたのかも?との想像が頭を巡っていた。
 いずれにしても、あの壮麗な世界を、また体験したい思いだった。
 ただし、あの巨人の手だけは、まっぴらゴメンだが。
 土星から先に行かなければ、きっと大丈夫だろう。 
 また行ってみたい宇宙世界を思い出しながら、都内に向かって飛び続ける沢口の後ろ姿を見ていて、仙人が最後に喋った言葉の意味を考えてみた。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み