恵人の編6

文字数 419文字

「沢口さん、その顔は?」
 恵人は自分が発した声に驚いた。老けている。冷たいベッドに寝ていたので、風邪でも引いたのか? それとも惑星旅行の時を超えて、声変わりでもしたのか?
「ああ、この顔か。これが俺の元の本来の顔だ。自分で言うのも何だが、ハリウッドのイケメン俳優にも負けていないぜ。おまえが寝ている間に、ついでに仙人に頼んで治してもらったのさ。それより、俺のことよりも、おまえ変に声変わりまでして、どうやら少しは成長したようだな。未熟な心のままで、乗り移らせるわけにはいかないからな」
 その言葉の前半分には疑心を抱き、後半分には納得した顔をした。
 とそのとき、仙人の声が耳に飛び込んできた。
「二人とも宇宙好きだとはな。似た者同士ということか。二人から何も貰っていないが、少年の未熟な心のままで乗り移らせると、世界を脅かしかねないから出血大サービスをしてやったぞ。沢口、後はまかせたぞ。二人とも、私の言葉をくれぐれも忘れるな」

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