先輩と僕と舞歌の事情
文字数 512文字
部活の最中に過労で倒れた都築は手足を打ったり捻ったりしてしまい、医者から全治1か月の宣告を受けている。その頃に行われる県大会までは舞台に立てず、その前に出場のチャンスを失うことは、舞歌も他の部員も到底できない話なのだった。それは、涼美先輩だって同じだろう。
だから、僕よりも使える「シャドウ」を役者にしたままのほうがいいのだ。
僕が言いたいことは、先輩も察してくれたようだった。
だけど、もっともらしく頷くのに何か皮肉っぽいものを感じて、僕は問い返した。
その顔は、過去の悪事を引き合いにして子供を叱るときの母親そっくりだった。