幕が上がる!
文字数 498文字
そのときにはもう、僕はシャドウの目の前……というか、本来の立ち位置にいた。
シャドウは僕を相手にもしない。お互い、もう完全に別次元の存在になっているのだろう。
僕は次元の違う世界にいるのをいいことに、袖幕の影からステージの上で猛ダッシュをかけたのだ。本当はやっちゃいけないことなんだけど、シャドウより先に立ち位置を取らないことには、僕の居場所を取り戻せない。
言い返せなかった。シャドウなら、やるかもしれない。
だが、そのとき、舞台袖から呼ぶ声がした。