夏の逢魔が時
文字数 490文字
1週間前のことだった。
夏の夕暮れの帰り道を歩く僕は、たった3日、放課後3時間ずつの練習が続いただけで、体力の限界に来ていた。
夏の夕暮れの帰り道を歩く僕は、たった3日、放課後3時間ずつの練習が続いただけで、体力の限界に来ていた。
とにかく暑い体育館のステージで、筋トレやったり、床に寝そべって力抜いたりヨーガみたいなポーズとったり、床が汗でべっとり濡れたところで発声練習だ。
体育会の掛け声もあって、とにかく僕の声は聞こえない。たった10日で会場に響くようにしなくちゃいけないのだから、そりゃあもう、顧問の先生から部長から、特に舞歌がつきっきりのご指導で鍛えてくださったのだった。
部活が終わると、舞歌はダウンした都築の顔を見にすっとんで帰った。
それも原因のひとつかもしれなかったけど、学校前からのバスを降りた帰り道にはもう、家までまっすぐに歩けないくらいだった。
それも原因のひとつかもしれなかったけど、学校前からのバスを降りた帰り道にはもう、家までまっすぐに歩けないくらいだった。
だんだんと、意識が遠のいていく。すれ違う人の姿が歪んでいく。帰宅途中のサラリーマン、塾へ急ぐ子供たち、ふらふら歩くバス停、夜空に影を映して行進していく電信柱……。