先輩の誘惑

文字数 460文字

仕方ない、許す。
許すも許さないも……。
 なんだか、シャドウというキャラがつかめてきた。結構、カッコいい。涼美先輩が頼りにするのも分かる気がした。
だって、私たちは2人で1人なんだから。
(……え? ええ?)
 僕を押さえ込んだまま、涼美先輩がしなやかな身体を這わせてきた。
(……ちょっと、これ、ダメでしょ!)
 さすがにここまでくると、シャドウのふりはできない。本当のことを言わないと、なんだか大変なことになりそうな気がした。
(例えば、この姿勢で舞歌の次元に現れちゃったりとか?)
 小柄だけどキュっと引き締まった身体の線が、カーテンに影となって浮かぶ。
……ふふっ。これで、さっぱり!
 シャワールームだわ2人でお寝んねしてるわとなれば、100%の確率で僕の人生は終わる。
 ここは、決断の時だった。
あ、あの……。
好きよ、シャドウ。

 甘い囁きが、重大な告白を止める。

 だめだ。ここで大騒ぎになったら、カーテンから顔を覗かせた舞歌の前に姿が現れてしまうかもしれない。

何だい、急に。
 先輩の恋人のふりを続けると、切ない想いの告白は続いた。
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登場人物紹介

三坂朔(みさか さく)

 ヤル気なしの高校1年生。

 帰宅部だったのに、演劇部員の地区大会代役として舞台に引っ張り出されて、汗みどろのシゴキに耐える日々を送っている。

 サボリ癖が強い上にムッツリスケベといいところなしだが、苦境にある者を見ると、放ってはおけない。

 幼馴染への恋には最近気づいたが、間に合わなかった。

徳永舞歌(とくなが まいか)

 劇作に夢中の高1女子。 

 役者修行に加えて戯曲執筆もこなす、やる気満々の才女。

 そのせいで朔の気持ちには気付かず(というか、もともと眼中にない)、勉強に恋にと高校生活を満喫している。

 普段は無邪気な天然少女だが、稽古の間は悪鬼羅刹と化す。

 

 

風間涼美(かざま すずみ)

 才色兼備の高3女子。

 蠱惑的な肢体を持ちながら、部活でも学校でも目立たないのは、(文字通り)次元の違う世界で生きているからである。

 即興の4行詩を吟ずることで、人間の肉体を乗っ取ろうとする異界の魔物を祓うことができる。

 実はお茶目で、年下の男性をからかうのが大好きだったりする。

シャドウ

 文字通りの「影」だが、熱い心と深い洞察力を秘めている。

 ふだんは学生服を着て、風間涼美と行動を共にしている。

 異界の魔物と接触すると、涼美の詠唱する詩の持つパワーを実体化して闘う。

都筑幸威(つづき ゆきたけ)

頭良し、ルックスよし、人望アリの完璧高2男子。

演劇部でも役者として、大会上演作品の中心となっている。

現在、徳永舞歌との交際も順調。


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