まるでもう1人の僕みたいに
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それがどうしたという感じの答え方だったが、いまひとつ、ピンとこない。
こうして、何やら自信たっぷりな涼美先輩に命じられるままに、シャドウは稽古の間中、舞台に立った僕の背中について歩いたのだった。
いつも僕と同じ場所に立っているのは何となく分かるけど、一言も、しゃべりはしない。
演出の上級生が何を言っても、返事もしないのだ。
僕が歩くと、同じリズムで音もなくついてくる。涼美先輩には悪いけど、なんだか気味が悪い。
それはまるで、舞歌の書いた台本に登場する影法師のようだった。