本番は、明日

文字数 479文字

いよいよ明日かあ……。
信じらんないよな、昨日まで授業なんて。

 僕は話をそらした。避けて通りたい話だったからだ。


仕方ないじゃない、本当は7月31日までなんだから、ウチの学校。今年は土日に月末が来て、運がよかったの。
 大会が終わった次の日に、また授業があるよりは、稽古に専念できるっていうことだ。でも、そんな話に戻されてはたまらなかった。
しゃーないよな、勉強しなくちゃいけないし? なんでもウチ、公立でも偏差値最低レベルで、いつ統廃合に引っかかってもおかしくないらしいよ。
それは……自業自得だと思ってる。ここに入ったの。
そんなわけで、中学校で勉強できなくてここに何とか引っかかった僕たちは、義務教育でさぼりにさぼったきたことのツケを母校の存続のために支払おうと、汗を流しながらシコシコ登校しなくてはならないのでアリマシタ。
いいじゃない、今年は。授業ないし、その分だけ稽古に集中できるから。
 結局、この話になる。だが、負けてがいられなかった。

この炎天下にゴクローサン!

野球部もバスケ部も、外で夏の太陽を浴びたり、体育館の中でこもる熱気にさらされたり!

演劇部も、ね。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

三坂朔(みさか さく)

 ヤル気なしの高校1年生。

 帰宅部だったのに、演劇部員の地区大会代役として舞台に引っ張り出されて、汗みどろのシゴキに耐える日々を送っている。

 サボリ癖が強い上にムッツリスケベといいところなしだが、苦境にある者を見ると、放ってはおけない。

 幼馴染への恋には最近気づいたが、間に合わなかった。

徳永舞歌(とくなが まいか)

 劇作に夢中の高1女子。 

 役者修行に加えて戯曲執筆もこなす、やる気満々の才女。

 そのせいで朔の気持ちには気付かず(というか、もともと眼中にない)、勉強に恋にと高校生活を満喫している。

 普段は無邪気な天然少女だが、稽古の間は悪鬼羅刹と化す。

 

 

風間涼美(かざま すずみ)

 才色兼備の高3女子。

 蠱惑的な肢体を持ちながら、部活でも学校でも目立たないのは、(文字通り)次元の違う世界で生きているからである。

 即興の4行詩を吟ずることで、人間の肉体を乗っ取ろうとする異界の魔物を祓うことができる。

 実はお茶目で、年下の男性をからかうのが大好きだったりする。

シャドウ

 文字通りの「影」だが、熱い心と深い洞察力を秘めている。

 ふだんは学生服を着て、風間涼美と行動を共にしている。

 異界の魔物と接触すると、涼美の詠唱する詩の持つパワーを実体化して闘う。

都筑幸威(つづき ゆきたけ)

頭良し、ルックスよし、人望アリの完璧高2男子。

演劇部でも役者として、大会上演作品の中心となっている。

現在、徳永舞歌との交際も順調。


ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色